2009年2月28日(土)「しんぶん赤旗」

新嘉手納爆音訴訟

賠償地域 広く認定

福岡高裁支部 飛行差し止めは退ける


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(写真)「賠償勝訴」「差止め認めず」の垂れ幕を掲げる新嘉手納爆音訴訟原告関係者=27日、那覇市

 極東最大の空軍基地である米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の周辺住民五千五百四十人が米軍機の騒音で被害を受けたとして、夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償を求めた「新嘉手納爆音訴訟」の控訴審判決が二十七日、福岡高裁那覇支部(河辺義典裁判長)で言い渡されました。

 河辺裁判長はW値(うるささ指数)七十五と八十の地域で損害賠償請求を認め一審判決より広い地域での被害を認定。一方、住民が強く求めていた、差し止め請求は認めず、健康被害と爆音について、「法的因果関係があるとは認められない」と、その主張を退けました。

 損害賠償が認められたのは、W値七十五以上の地域で原告のうち五千五百十九人。総額約五十六億二千六百九十三万円の支払いを国に命じました。「強い爆音にさらされており、航空機騒音等による被害も相当な程度に達している。受忍限度を超えると評価すべき」だとしました。

 一方で、同じW値七十五の地域でも、一部地域で「W値七十五の地域内の他の測定地点における騒音状況よりかなり低く、想定する騒音レベルとは著しくかい離してしまっている」として二十一人の損害賠償を棄却しました。

 判決では、差し止め請求が認められないとしたことについて、国に「騒音の状況を改善する責務がないことを意味するものではな」い、とくぎを刺しました。「原告らに差し止め請求という形式による司法的救済の道が閉ざされている以上、より一層強い意味で、騒音の状況の改善を図るべき政治的に責務を負っている」と行政の怠慢さを指摘しました。



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