2009年2月25日(水)「しんぶん赤旗」

融資金

南都銀が問題送金

倒産直前の富士ハウスに

施主 「説明なかった」


 倒産により工事代金を支払ったにもかかわらず新居の完成、引き渡しができないことで問題となっている注文住宅メーカー・富士ハウス(本社・浜松市)をめぐり、南都銀行(本店・奈良市)が手続き上問題のある融資を実行していた疑いが二十四日までに分かりました。


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(写真)南都銀行とのローン契約証書。上の円はAさんの自筆、下の楕円(だえん)はAさん以外の人物が記入

 施主で借り主のAさん夫妻(奈良県在住)によると、南都銀行は住宅ローン契約時に振込先についての説明をせずに、借入金を富士ハウスの口座へ送金していました。

 富士ハウスは一月二十九日に自己破産を申し立て倒産。その直前の一月十六日、富士ハウスの事務所に同行員が出向き、Aさん夫妻二人と合計約二千万円の住宅ローン契約を結びました。

 Aさんによると、行員は融資の振込先口座が、借り主名義でも富士ハウス名義でも可能であるとは説明せず、未記入での提出を促しました。

 融資実行(一月二十日)後、渡された証書の「借入金の振込」先には、Aさん夫妻のものではない筆跡で「富士ハウス株式会社」と記されていました。

 Aさん夫妻が自筆で記入したのは、借り主の「おところ」と「おなまえ」、「生年月日」と融資金額、返済用預金口座の名義欄だけでした。「残りはこちらで記入します」と行員にいわれたといいます。

 Aさんは「南都銀行が富士ハウスと結託していたのではないか。もし自分の口座に振り込まれていたら、被害にあわずにすんだかもしれない」と憤っています。

 富士ハウスの倒産により、マイホームが引き渡されないケースが千二百件を超えています。破産管財人は払い戻せるのは多くて総額の20%との方針を提示しています。

 Aさんの場合、終わっているのは土台の基礎工事だけです。家そのものは未着工です。

 南都銀行は本紙の取材に対して最初、「通常、証書はお客さまが記入する」と回答しましたが、二回目は「個々の取引内容についてはお答えできない」と述べました。

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