2009年2月22日(日)「しんぶん赤旗」
キヤノン恩恵 補助金増
大分県が計画 新工場で20億円にも
キヤノン工事裏金・脱税事件が問題となるなか、疑惑の渦中にある大分県が来年度から企業誘致補助金の大幅引き上げを計画していることがわかりました。現段階で、この対象になる進出を予定するのはキヤノンのグループ会社のみ。同グループは大量の「派遣切り」もしています。事件や「派遣切り」への批判にお構いなしの補助金引き上げに疑問の声が上がっています。
大分県が増額を計画しているのは「大規模投資促進補助金」。大分県に進出した製造業などで百人以上の新規雇用をした事業所に、投資額の5%を補助する制度です。
現行では、一年に十億円まで受け取ることができますが、県は来年度から最大で三十億円に引き上げる計画です。
この新補助制度の恩恵を受けると思われるのがキヤノングループです。日田キヤノンマテリアルがことしの六月、日田市に新工場の着工を予定しています。
県企業立地推進課の担当者によると、同社の新工場は「一期計画で投資額四百億円、新規雇用五百人を予定していると聞く」といいます。
この規模で計算すると、同社が現行制度で受けられる補助金は十億円ですが変更によって二十億円に倍増することになります。
裏金・脱税事件をめぐっては、県土地開発公社が大手ゼネコン「鹿島」に異例の随意契約で工場用地造成工事を発注するなど、県の不透明な動きが問題になっています。こうした中の補助金増額について県の担当者は「引き上げることで地域間競争に勝ち残らなければならない」と主張します。
補助金についてキヤノン広報部は「制度にもとづいて受け取らせていただきます」と回答しています。
この補助金額の変更について県の担当者は「条例で定めたものでなく、県庁内の手続き」といいます。県議会が二十四日から始まりますが、この引き上げ計画は直接の議論の対象となっていません。
グループ企業の大分キヤノンと大分キヤノンマテリアルはこれまでも「雇用機会の拡大」の名目で多額の補助金を受けながら、昨年秋に非正規労働者約千二百人を大量解雇しました。この二社も来年度以降、三年間で計十一億五千万円の補助金を受け取る予定です。