2009年2月21日(土)「しんぶん赤旗」

内部留保を使うと経営がゆきづまる?


 〈問い〉日本共産党が言うように内部留保を雇用の確保に使うと、企業も資金繰りが厳しくなり、経営がゆきづまるようなことにならないのでしょうか。(千葉・一読者)

 〈答え〉企業の内部留保は、年々のもうけを企業が内部に蓄積してきたものです。

 日本の大企業の製造業は、派遣や期間工など非正規労働者を増やして賃金を抑え、下請け単価を買いたたき、バブル期を大幅に超えるもうけをあげてきました。それにつれて、内部留保も年々積み上がってきました。

 内部留保は、製造業大企業(資本金10億円以上)だけで1997年度末の87・9兆円から2007年度末までの10年間に32・1兆円増え、総額は120兆円に達しています。

 労働者派遣業の業界団体は、3月末までに40万人の非正規労働者が職を失うと推計していますが、平均年収を300万円とすると賃金額は1兆2千億円です。この額は、製造業大企業の内部留保のわずか1%にすぎず、経営がゆきづまるとは考えられません。

 また内部留保は設備投資になっていて、現金などでは少額しか保有していないので資金繰りに困るという主張もあります。

 しかし、企業資産の中身を見ると、製造業大企業が内部留保を07年度までの10年間に32・1兆円増やした同じ期間に、機械や土地、建物などの「有形固定資産」は1・5兆円減少し、投機資金を含む「投資有価証券」は34兆円も増えています。設備投資に必要な額をはるかに上回る資金が企業内部にたくわえられ、その多くが金融資産への投資に使われているのが実態です。

 非正規労働者の雇用確保に必要な資金は、これらの資産に比べればわずかですし、現金・預金などの「手元資金」は07年度末に21・1兆円あり、十分なはずです。

 それでも足りなければ、金融資産には国債や外国公社債など売却可能なものも多く、資産を担保に資金を調達することもできるはずです。ほかにも巨額すぎる株式配当の減額など、雇用を維持するためにできることはたくさんあります。(方)

 〔2009・2・21(土)〕


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