2009年2月20日(金)「しんぶん赤旗」
富士ハウス倒産
1282件、新居未完成
7割前払い、入金急がす
注文住宅メーカーの富士ハウスと関連二社(本社はいずれも浜松市、従業員総数は約二千人)の倒産にともなう、深刻な被害の実態が十九日までに明らかになりました。工事代金を支払ったにもかかわらず、完成物件の引き渡しを受けられないケースは千二百八十二件にのぼっています。
富士ハウスは一月二十九日に自己破産を申し立て倒産しました。負債総額は関連二社を含め約六百三十八億円で、住宅施主の被害は五十五億円にのぼるとみられています。同社は関東、東海、近畿地方に支店を設け、営業していました。
引き渡しができない千二百八十二件の内訳は、着工中が四百七十八件、未着工が八百四件となっています。
破産管財人は、富士ハウスに支払った工事代金の返金は最大でも20%程度との見通しを提示。工事代金だけ取られ新居はなし、建築続行には新たな資金が必要な施主が多数でることになります。
富士ハウスは着工前に総工費の70%という高額入金(業界関係者によると通常は三、四割程度)を要求。被害者の中には倒産九日前に、銀行から借り入れた資金二千万円以上を支払った人もいます。
昨年十一月には、円高還元で1・5%の工費値引きを約束し、着工前入金を急がせたことも判明しています。同月には、同社の支払い遅延がいわれはじめていました。
静岡県弁護士会は十六日、記者会見を開き被害対策静岡県弁護団の発足を発表。二十(電話)、二十一(面接)の両日、県内三カ所で相談会を開催します。
同弁護団は、富士ハウス側が記者会見や説明会をまったく開いていない点を「きわめて異例」と指摘。「旧経営陣が破産検討の事実を告知せずに、末端社員に金集めをさせた可能性もある。破産後に入金させた例もある」(青山雅幸弁護士)と話しています。