2009年2月20日(金)「しんぶん赤旗」

汚染米を飼料用に販売

農水省が廃棄の約束破る


 農水省は十九日、政府保有輸入米(ミニマムアクセス米)の「販売直前におけるカビ・カビ毒のチェックについて」と題する、カビ毒検査の新方針を発表しました。それによると、これまで相次いで発見されていた「カビ状異物」などについて、「従来行っていたカビ毒分析は停止する」としています。

 政府保有輸入米からは、一月だけで二十八件の「カビ状異物」が発見され、サンプル(試料)がカビ毒検査に回されています。カビ毒の有無についても、その検査結果すべてが闇に葬られることになります。

 新方針はさらに、猛毒のアフラトキシンなどカビ毒に汚染された輸入米について「飼料安全法で規制されている基準以下であれば、エサ米として販売する」(農水省消費流通課)としています。

 農水省は昨年十月末に「事故米を二度と流通させない」という農水相談話を発表し、「国の在庫保有中に問題が生じた場合は、これを廃棄処分にする」と公約しました。新方針のカビ毒汚染のエサ米への販売は、これを踏みにじるものです。

 一方、新方針は、輸入米の国内業者への販売直前に、目視でカビがないことを確認した輸入米を、一トン入りの袋に詰め替え、そのすべての袋からサンプルを採取してカビ毒検査を実施するとしています。

 これまでは、「カビ状異物」が発見されると、「異物」のカビ毒検査とともに、同一の船で輸入した輸入米をカビ毒検査(袋数で1%前後の抽出検査)に回していました。新方針は、従来の検査対象を一見拡充するものですが、汚染米のエサ米への流通の道を開くなど、大きな問題をかかえています。


 アフラトキシン カビの菌が産出するカビ毒の一種。熱帯や亜熱帯で生育する菌なので、輸入米だけから検出されます。一九七四年にインドで百六人が肝炎で急性中毒死するなど、ダイオキシンの十倍以上の毒性を持つ猛毒です。



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