2009年2月18日(水)「しんぶん赤旗」
新銀行東京
旧経営陣を提訴へ
巨額損失 都知事の責任不問
東京都が出資し、深刻な経営危機に追い込まれている新銀行東京は十七日、巨額の損失が発生した責任は旧経営陣にあるとして、仁司泰正・元代表執行役=トヨタ自動車出身=と丹治幹雄・元執行役の二氏を相手取って損害賠償訴訟を起こすと発表しました。
新銀行東京は二〇〇八年三月期決算で千十六億円の累積赤字が発生、都が四百億円を追加出資し経営支援を続けています。
同行の津島隆一代表執行役(元都局長)らは同日、日銀で会見し、外部調査委員会の報告書を公表しました。調査は牛島総合法律事務所に委嘱。報告書は仁司、丹治氏について、特別背任罪で刑事告発できる証拠が得られなかったものの、巨額の損失を発生させた責任があると説明。〇六年八月には貸し倒れ発生率が想定を大幅に上回ることが分かっていたにもかかわらず、〇七年六月まで融資拡大路線を継続し、抜本対策を怠ったとしています。
津島代表執行役は会見で、提訴の時期について「慎重な準備をした上ですすめたい」と時間がかかると説明しました。
ほかの取締役七人には報酬の自主返納を求めるものの、返納額の公表は拒否しました。
また、最大株主として同行に過大な融資目標、ずさんな審査システムを押しつけた石原慎太郎知事や、大塚俊郎元副知事(現・新銀行会長)、津島元都新銀行設立本部長(同代表執行役)らの責任は免罪しています。
新銀行東京 石原慎太郎知事のトップダウンで二〇〇四年に設立。昨年三月には累積赤字が千十六億円にふくらみ、減資で都出資額のうち約八百五十五億円を棄損しました。設立時の一千億円出資には自民党、民主党、公明党が賛成、昨年四月の四百億円追加出資は自民、公明が賛成。日本共産党は一貫して反対しています。
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