2009年2月18日(水)「しんぶん赤旗」
中川財務相が辞任
首相の責任免れない
G7醜態
中川昭一財務・金融相は十七日、ローマでの七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後の記者会見で、ろれつが回らない口調で応答したことについて「多大な迷惑をかけた」と述べ、同日夜には大臣辞任に追い込まれました。予算審議中に担当閣僚が辞任するのは異常事態。支持率一割台の麻生内閣にいっそうの打撃です。
中川氏は、十七日昼の記者会見で辞意を表明したものの、その段階では「予算案と関連法案が衆院を通過したならば、自身のけじめとして直ちに辞表を提出したい」などと述べ、即時辞任は否定していました。
これを受け、日本共産党など野党は、参院に中川大臣の即刻辞任を求める問責決議案を提出。参院本会議で採決されれば、可決は必至という状況の中、追い詰められた中川氏は、夜になって、麻生太郎首相に辞表を提出しました。
麻生首相は、問題発覚後の十六日にも、中川氏に「職務に専念してほしい」と続投を指示し、会見でも「体調に不調を来したんだと思う」などと擁護していました。
中川氏によると、首相は十七日午前に中川氏が辞意を伝えたさいにも、「当面の懸案事項に全力で取り組んでほしい」と予算案の衆院通過には全力を挙げるよう中川氏に指示していたといいます。
同日国会では、中川氏が病院での検査を理由に欠席を連絡してきたため、午前中の衆院予算委員会と参院財政金融委員会が開かれませんでした。午後になって与党は、担当大臣の中川氏が辞意を表明しているにもかかわらず、衆院予算委員会での質疑を単独で強行しました。
麻生内閣での閣僚辞任は、成田空港問題や日教組などをめぐる一連の暴言で昨年九月に国土交通相を辞任した中山成彬氏に続き二人目です。
後任は与謝野氏
首相は、与謝野馨経済財政相に財務・金融相を兼務させることを決めました。
政権担当能力を喪失
市田書記局長が記者会見
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日本共産党の市田忠義書記局長は十七日、中川昭一財務・金融相が辞任したことについて記者会見し、「当然だ。しかし、あまりにも往生際が悪すぎる。今朝の段階で直ちに辞任を表明すべきだった」と述べました。
市田氏は「政府も“戦後最大の経済危機”といっているときに、国民の暮らし・経済に直接責任を負う中心的な大臣が、大事な国際的な会議の場でろれつが回らなくなって、自分でも何を言っているのか分からなくなっている状態に陥った。これ自体が、いかに国民の暮らしに対して無頓着かを象徴的に表している」と批判しました。
その上で、「麻生太郎首相の責任もきわめて重大だ」と強調。「首相は、中川氏を内閣の要としての財務・金融相に任命した。十六日は中川氏をかばって、『引き続きがんばってくれ』と激励した。十七日は、二〇〇九年度予算案と関連法案の衆院通過後までの続投も容認した」と指摘し、「まったくことの重大性を認識していない、首相の責任は免れない」と批判しました。
市田氏は「政権担当能力を喪失した内閣だ。政策的にも路線的にも、こういうときの人事の問題までブレまくる。どこまでブレたら気が済むのか」と述べ、「麻生首相の責任を引き続き追及していく」と表明しました。