2009年2月16日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPRESS
「綱領やらない?」4時間学ぶ
共産党青年支部
東京・杉並
東京都杉並区の青年でつくる日本共産党支部は、昨年1年間で12人の新入党員を迎え、年末には日本民主青年同盟の地区委員会も再建しました。その力になったものは――。(平井真帆)
北欧の新聞社が取材
「活動する人がここ1年くらいで4、5倍に増えました。とにかくみんな仲がよくていつも一緒。今までこういう関係はなかった」
杉並区で青年支部を担当しているYさん(28)は、支部の変化を振り返ります。
2月のある支部会議。午後7時を回ると、仕事を終えた青年が次々と集まってきます。
この日はスウェーデンの新聞社が、支部会議の様子や新入党員を取材していました。
会議の後半。突然、部屋の電気が消え、「ハッピバ〜スデ〜」の歌声とともに、ケーキが運ばれてきました。2月生まれの3人にそれぞれプレゼントが手渡されると、大きな拍手と歓声があがりました。
いつも知らない人が
青年たちの元気の源は、「メール1本で30人から40人はくる」という「飲み会」です。友人が友人を誘い、毎回知らない人もいっぱい。
焼き肉、すき焼き、手巻きずし―。仕事で帰りが遅く、日ごろ活動に参加できない人も気軽に集まってきます。
つい最近まで「党には偏見がある」と、「しんぶん赤旗」の購読も断っていたMさん(27)が「ここにいる人たちが大好きだから、共産党に入る」と入党。Yさんたちは驚きました。
Mさんは飲み会に何度か参加するうち、支部員に共産党についての質問をするようになりました。「そんなに質問がたくさんあるなら、綱領やれば?」
支部では、つながった人は誰でも気軽に「綱領やらない?」と勉強会に誘い、4時間以上かけて学びます。
綱領を学んだMさんは言いました。「共産党を誤解していた。それは政府によって、うえつけられていたものだった」
元米海兵隊員 アレンさんにもらった思い
青年支部が変化したきっかけは、昨年2月。元米海兵隊員のアレン・ネルソンさんの講演会でした。
アレンさんは高校中退後、米海兵隊に入隊。ベトナム戦争に従軍しました。現在は、アメリカや日本で戦争の実態を訴える講演活動などに取り組んでいます。
目標は200人。こんな大きなイベントを開催するのは初めてです。経験の長い党員は、「絶対に失敗するからやめたほうがいい」と助言しました。
Yさんたちは、とにかく「楽しくやる」を徹底。打ち合わせの後は必ず食事会。1度会議(飲み会)にくれば「即メンバー」。4、5人だった実行委員は、あっという間に3倍にふくらみました。
当日は目標を上回る約270人が参加。青年たちは、アレンさんが軍隊で「殺人マシン」として訓練され、再び人間の心を取り戻す過程を、じかに聞くことができました。
結束した実行委員はそのまま、民青同盟の再建を担う中心メンバーになりました。
現在、支部では青年の要求を実現しようと、原田あきら党杉並区議とも協力し、「街頭生活労働相談」や「ネットカフェ難民調査」などにも取り組んでいます。
病気のアレンさんに
年明け。杉並の青年たちは、地区に転機をもたらしたアレンさんが、「多発性骨髄腫」という血液のがんだという知らせを聞きました。
アレンさんの妻、アネッタさんによると、「がんは彼がベトナムにいたときに起因しており、枯れ葉剤と関係している」といいます。
「平和への熱い思いをもらったアレンさんに何かできないか」と、杉並の青年たちはいま、支援活動に取り組んでいます。
憲法9条を体現 メッセージ伝えたい
通訳 中村 みずきさん
杉並区在住で、2002年からアレンさんの通訳として関東のツアーに同行していた、中村みずきさんは次のように話しています。
アレンに会うまで、私にとって憲法9条は、「自分の生活とはあまり関係ないもの」だと思っていました。
長崎の佐世保で、小学生の女の子が同級生を殺害した事件が起きたとき、たまたまアレンと東京にいました。
アレンが、「あのニュース聞いた? だから、自分は9条だ」と言うんです。
「誰か彼女の周りのおとなが、9条を彼女に教えてあげていたら。問題が起きたときに、話し合いで解決する方法を彼女に教えてあげていたら」と。
かつては暴力の中に身を置いていた人。だからこそ、「自分にとって9条は、生き方そのものだ」とアレンは言っています。
アレンは、憲法9条を体現している人です。1人でも多くの若い人にアレンのメッセージを伝えていきたいです。
お悩みHunter
労働法って役立つ法律なの?
Q 学校の講義で、「労働基準法などの労働法は、労働者を保護するための法律だ」と教わりました。でも、現実には、「派遣切り」や「内定取り消し」などが横行し、過労死や過労自殺も増えつづけています。労働法って、ほんとに役立つ法律なのですか?(21歳、女性)
自分の権利 正しく知って主張
A 労働法が役立つというのは本当ですよ。
労働者の権利を守るために働く私たち労働弁護士は、日々労働法を武器に、使用者と交渉したり裁判したりしています。
例えば労働契約法16条は、合理的理由のない解雇は無効だと定めています。違法な解雇に対して、法を使って職場復帰を求めることができます。
また、労働基準法では、原則として労働者を1日8時間、週40時間を超えて働かせてはならないと定めています。違反すると罰則が科せられます。この原則が厳格に守られていれば、過労死などは起こらないでしょう。
このように、労働法は、使用者に比べ立場の弱い労働者の権利を保護することを目的にしています。また、労働法のルールのもとで企業も持続可能な発展ができると思います。
ただ、あなたの言うように十分にその力を発揮していない現実があります。労働者派遣法のように弊害が大きく見直すべき法律もあります。
この現実を変えるためには、まず労働者が自分たちの権利を知ることが必要です。
せっかくの権利も、本人がそれを知らなければ主張することもできません。自分の権利を知らないために、不当な扱いを受けながら、仕方がないと泣き寝入りしている人がたくさんいます。
自分の権利を正しく知ることは、あきらめないで前向きに生きるためにとても大切なこと。あなたも労働法や自分の権利を知って、役立ててください。
弁護士 岸 松江さん
東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。