2009年2月16日(月)「しんぶん赤旗」

被爆者3人が実相証言

核不拡散・核軍縮に関する国際委

“被害にあったのは罪ない市民”


 【ワシントン=西村央】核兵器保有国を含め、各国の政治・軍事専門家ら十五人の委員で構成する「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)の第二回会合が十四日、ワシントンで二日間の日程で始まりました。十四日は午後から被爆者セッションが開かれ、広島、長崎での三人の被爆者が委員会を構成する各国の専門家を前にして、原爆被害の実相を訴えました。

 証言後、会見した広島被爆者の岩佐幹三さん(80)=日本被団協事務局次長=は「共同議長の一人、エバンズ元豪外相がまとめ発言で、核兵器はあってはならないと言っていた。私たちが述べたことを受け止めてもらえ、ここまで来て良かった。こういう会合が持たれること自体、時代の流れを感じ取れた」と語りました。

 十三歳の時に広島で被爆したサーロー節子さん(77)=カナダ在住=は、「地面には、黒焦げの死体や焼けてパンパンに膨れ上がった死体がころがり、肉の焼けるにおいがたちこめていた」と原爆投下直後の惨状を告発。会見では「日豪の共同議長がリーダーシップを発揮し、NGO(非政府組織)のかかわりで運動が広がっていることは非常にうれしいこと」と心境を表明しました。

 長崎で被爆した道上昭雄さん(80)=愛知県原水爆被災者の会副理事長=は、原爆投下後に「兄ちゃん、水が欲しい」と、か細いこえで懇願していた弟がその三十分後に絶命したことなど、家族を失ったさまを証言で再現しました。道上さんは「戦争で、特に核兵器が使われたなら、もっとも犠牲を受けるのは何の罪もない市民です。私は戦争に反対し、核兵器廃絶により、平和な世界をつくるための努力を続ける」と訴えました。


 ICNND(核不拡散・核軍縮に関する国際委員会) 二〇〇八年九月、日本とオーストラリアが主導し、核兵器廃絶に向けた道筋を各国に提言する目的で発足。川口順子元外相、ギレス・エバンズ元豪外相が共同議長を務め、ペリー元米国防長官のほか、ロシア、中国、インドなどの元高官や専門家十五人が委員となっています。ワシントン会合後、モスクワで三回目を開き、最後の四回目となる十月に広島で予定されている会合で報告書をまとめ、各国に提言する予定です。日本共産党国会議員団は今年一月、川口氏に対し、核兵器の廃絶を緊急・中心課題として明確に打ち出す提言がまとめられるよう要望しました。



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