2009年2月14日(土)「しんぶん赤旗」

主張

税制法案審議入り

内需犠牲の税制を拡大するな


 自民・公明が衆院で審議入りを強行した来年度の税制関連法案は、新たな大企業優遇税制を盛り込む一方で、消費税増税の法制化を「付則」に書き込みました。

 小泉「構造改革」が大規模に進めた「庶民に増税、大企業・大資産家に減税」の「逆立ち税制」を、消費税増税という最悪の庶民増税で仕上げようという狙いです。

 「逆立ち税制」は税制の所得再分配の働きを弱め、ぎりぎりの生活費に容赦なく課税して貧困と格差を拡大してきました。一部の輸出大企業の異常に強い競争力と、半面の極めてもろい国内需要というゆがんだ経済構造の元凶です。

消費税増税の法制化

 税制法案の「付則」は、「消費税を含む税制の抜本的な改革」を行うための「法制上の措置」を二〇一一年度までに講じるとしています。「付則」は消費税増税と併せて「法人の実効税率の引下げを検討する」と盛り込みました。

 ここ十年、大企業向けには法人税率の引き下げ、連結納税制度の導入、研究開発減税の拡充、欠損金の繰越期間の延長など減税の大サービスを繰り返してきました。大企業向けの減税は年間ベースで五兆円に達しています。

 これに対して庶民には年金控除など諸控除の縮小・廃止や定率減税の半減・廃止、住民税増税、発泡酒増税など増税の連続でした。

 庶民から吸い上げて大企業・大資産家にばらまく「逆立ち税制」は、国内需要の大黒柱である家計に冷水を浴びせ続けています。

 大企業は昨年度まで過去最高益を更新し続け、巨額の内部留保をため込んできました。ところが大企業は、株主配当や役員報酬を増やした一方で、大もうけを支えてきた派遣労働者や期間工をどんどん切り捨てています。

 大企業がもうければやがて家計にも恩恵が波及するという財界・自公政府の「経済成長神話」は、国民に大きな被害をもたらした揚げ句に完全に破たんしました。

 日本経済を「外需頼み」から「内需主導」へと抜本的に体質改善するためにも、「逆立ち税制」の転換は切実な課題です。低所得者ほど負担が重い消費税増税と、大企業向けの法人税減税を明記した「付則」は、本末転倒の極みです。

 この「付則」について、麻生太郎首相は「財政に対する政府の責任」を明らかにしたものだと説明しています。しかし、財政の立て直しの面から見ても「逆立ち税制」は大きな障害です。「逆立ち税制」を続ければ内需が安定せず、税収も安定して増えません。税制の柱の一つである法人税を減らし続けるやり方は、「財政に対する責任」の放棄です。

新たな“有害税制”

 税制法案は、多国籍企業が外国子会社から受け取った利益の配当を非課税にする、新たな大企業減税を盛り込んでいます。

 現在は外国子会社からの配当は日本の税率で課税して、子会社が所在国で払った税額を差し引く「外国税額控除」のやり方で課税しています。

 今回の非課税化は、海外移転を進めた大企業ほど大きな減税を受けられる仕組みです。ますます大企業の海外移転を促進すると同時に、企業を誘致したい国々の法人税率引き下げ競争を招きかねない“有害な税制”です。

 財界・大企業の言いなりでは、経済も財政も再建できません。



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