2009年2月12日(木)「しんぶん赤旗」

海兵隊グアム「移転」

日本負担を協定で約束

米国務長官来日で署名へ

戦闘施設にも拡大


 在沖縄米海兵隊のグアム「移転」に関する協定が、中曽根弘文外相と来日するクリントン米国務長官との十七日の会談で署名されようとしています。米国領土にある米軍基地の建設・増強のために外国政府が財政負担をするという世界に例のない措置を、条約で「国際約束」にするのが狙いです。(榎本好孝)


 西太平洋の米領グアムへの在沖縄米海兵隊「移転」計画は、二〇〇六年五月の在日米軍再編に関する日米合意で最終決定しました。同計画では、「移転」に伴うグアムでの「施設・インフラ整備」にかかる経費百二億七千万ドルのうち、約六割にあたる六十億九千万ドルを日本政府が負担することになっています。

 米国の世界規模での軍事戦略に基づくグアムでの新基地建設計画に、巨額の日本国民の税金を注ぎ込もうとするものです。

 政府は当初、「日本側の分担はあくまでも、沖縄にいる海兵隊の移転に伴って直接必要となる(司令部)庁舎、隊舎、学校等の生活関連施設、家族住宅、基地内インフラ(注=電気、上下水道など)ということに限定している」(〇七年三月二十九日、防衛省の大古和雄防衛政策局長=当時、衆院安保委員会)などと説明。「アメリカが独自に整備する実戦部隊用の作戦運用施設については、日本は分担することはない」(同)と強調していました。

 ところが、防衛省がこのほど日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に説明したところによると、〇九年度政府予算案には、グアム「移転」関連経費として、アンダーセン空軍基地やグアム海軍基地内アプラ港での戦闘部隊用の施設建設に向けた基盤整備費が盛り込まれています。(表)

 赤嶺議員が六日の衆院予算委員会で指摘したように、米軍は、アンダーセン空軍基地で「グアムに恒久的または一時的に駐留する海兵隊の回転翼・固定翼航空機を支援するための作戦・整備・管理施設」(〇八年四月の「マスタープラン素案の概要」)の建設を検討。アプラ港でも、空母が停泊できる岸壁の建設を検討しているほか、海兵隊が乗り込む強襲揚陸艦や高速輸送艇などの運用ができるようにしようとしています。

 これらは、「アメリカが独自に整備する」と日本政府が説明していた「実戦部隊用の作戦運用施設」の建設にほかなりません。政府はその説明にも反して、戦闘部隊用の施設建設のために基盤整備を進めようとしているのです。日米両政府が締結しようとしている協定は、日本側分担のなし崩し的な拡大を既成事実化するものになりかねません。

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表


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