2009年2月11日(水)「しんぶん赤旗」

主張

ケータイと子ども

賢いつきあいかたの探究を


 文部科学省は一月末、携帯電話(ケータイ)の小中学校への持ち込みを原則禁止とする指針を、都道府県教育委員会に通知しました。文科相は「本当に持ってきていないのか調べる必要がある」とまで述べています。

取り締まりの発想でなく

 学校への持ち込みをどうするかは、実情に応じて自主的に決めることです。授業中は使わないことを含め、子どもらが話し合って決めてこそ意味があります。取り締まり的な発想で上から規則を決め、持ち物検査などに走れば、教育そのものをゆがめかねません。

 ケータイはただの電話ではなく、インターネットであらゆる世界とつながる文明の利器です。子どもも居住地をこえたさまざまなネットワークをつくれるようになりました。子どもとのコミュニケーションや安全確認のために欠かせないという保護者もいます。

 同時に、その機能は危険と隣り合わせです。だからこそ保護者は、料金の使いすぎやメール・ネットを悪用したいじめ、有害サイトや出会い系サイト、ネット依存による対面コミュニケーション不全など多くのことを心配しています。

 高校生の所持率は95%、いまは持っていない小中学生もいつかは使い始めます。それだけに社会が力を注ぐべきは、ケータイの所持や使用のルールを子どもとともに形成することです。

 その一つは、使い方や情報のモラルについてです。たとえば料金や時間の制限、危険なサイトへのアクセスをふせぐフィルタリングや保護者のチェックがあります。個人情報をネットに書くことは青少年をねらう犯罪の格好の対象となることや、他人への攻撃は相手の人格を深く傷つけ、名誉棄損などの犯罪になることも知らなければなりません。具体的なトラブルがあったときの対応方法の知識も必要です。

 同時に成長期にある子どもを守るという観点をすえることが重要です。専門家は過度な使用などで子ども期・思春期に必要な成長がそこなわれる危険を指摘しています。子どもはネットへの情報発信によって生ずる責任をとりきれないという問題もあります。所持の時期は慎重に検討されるべきことでしょう。子どもをもっぱら販売のターゲットにしてきた企業は、その姿勢を改めるべきです。

 ある中学校ではケータイについてアンケートをしました。「この世からケータイがなくなったらどうなる?」という問いに、「本音が言えなくなる」「世界が終わる」という答えが複数ありました。クラス討論では「メールでしか本音を言えないのは寂しい」などの多様な意見がでます。

 生徒は各自の思いをつづった「中学生の中学生による中学生のための携帯ネット入門」という冊子をつくりました。結果、ネットいじめはなくなったといいます。

社会の自主的取り組みで

 子どもたちは、ケータイと賢くつきあいたいと願っています。それは、友人関係や自分の時間の使い方など、子どもの人間形成に深くむすびついています。

 ケータイとのつきあいは始まったばかり、ある意味で子どものほうが先輩です。危険から子どもを守りながらケータイとのつきあい方を探求しましょう。行政はそうしたとりくみを支援すべきです。


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