2009年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
築地移転
安全より工事優先
都技術会議 欠陥調査を基に報告
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東京都は六日、築地市場移転予定地(江東区豊洲)の土壌汚染対策を密室で検討してきた「技術会議」(座長・原島文雄東京電機大学教授)の報告書を公表しました。汚染処理費用は五百八十六億円と当初より縮減すると強調するものの、肝心の食の安全の確保は二の次にしており、市場関係者から批判の声があがっています。
報告書は、都の専門家会議の提言(昨年七月)を具体化したもの。予定地に処理プラントを設置し、環境基準の四万三千倍と高濃度の発がん性物質・ベンゼンなどを微生物処理し、加熱処理と併用するとしています。
また、「水を通さない」としてきた予定地の粘土層(有楽町層)について、「不透水層付近まで汚染が達している場合は掘削除去する」としましたが、同層より深い地下は基本的に対象としていません。同層が二カ所で確認できなかった問題については、今後再調査し実態を把握するとの記述にとどめました。
報告書が選定した処理技術は企業などの提案を机上で検討しただけで、実証試験もしていません。記者会見で原島座長は「(処理工法には)かなり技術的課題があると思う」と発言。委員の一人は「実証試験をするに越したことはない」と語りました。
仲卸業者でつくる「市場を考える会」の山崎治雄代表は同日、都庁で記者会見し、「食の安全、安心が第一条件だ。安全性が保たれない所に市場を移すのは大変危険。(情報を隠す)都は信用できない」と批判しました。
都は同日、二〇一〇年度に汚染対策工事、一二年度に新市場建設工事に着工し、一四年十二月に開場させる方針を公表しました。新市場の整備費は総額四千三百十六億円を見込んでいます。
安全二の次 移転中止を 清水都議
日本共産党東京都議団の清水ひで子政策調査副委員長は六日、都技術会議が提出した豊洲新市場予定地の汚染対策報告書について、「工期の短縮と経費節減を優先し、『食の安全』確保を二の次にする欠陥対策」と批判、移転断念を求める談話を発表しました。
談話は、移転予定地の土壌・地下水の調査が不徹底で、有楽町層(粘土層)より深い地層の調査を拒否する欠陥調査に基づいた報告書には重大な欠陥があると指摘。有楽町層が断続していたことは、「有楽町層があるから、再汚染の危険性はない」との都の言い分を根底から覆すもので、技術会議の検討そのものが「砂上の楼閣」だとしています。
また有毒物質の除去対策も、「バイオ処理など新技術は事前の実地テストは実施されておらず、その実効性は検証されていない」と指摘しています。
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