2009年2月7日(土)「しんぶん赤旗」

主張

中小企業の危機

経済再生の屋台骨を守れ


 日本経済を立て直すために、経済の体質を外需頼みから内需主導に改めることが、ますます重要な課題になっています。

 自公政府は「海外発の大きな『津波』にのみ込まれた」(麻生太郎首相)と、景気の悪化をもっぱら海の向こうの責任にしています。しかし、日本経済を極端な外需頼みのもろい体質にしたのは、家計と中小企業という内需の主役を犠牲にし、ひたすら輸出大企業を応援してきた財界と自公政府の「構造改革」路線です。

 その財界・大企業が、「津波」のしわ寄せを一方的に雇用と下請けに押し付けています。

大企業のしわ寄せで

 日本の中小企業の経営が、墜落するような勢いで悪化しています。

 ロンドンに本社を置く国際会計事務所(グラント・ソントン)が一月、世界三十六カ国の中小・中堅企業の経営者に対する意識調査の結果を発表しました。景気の見通しに悲観的な経営者の割合は、金融危機の震源地のアメリカ、イギリスなどを大きく引き離して、日本が最悪となっています。

 「大企業が真っ先に減産した影響は、下請け関係を通じて中堅・中小企業へ波及するから中小企業の景況感はさらに悪化するということ」―。調査に寄せて、大学教授が分析している通りの深刻な実態があります。

 輸出大企業の下請けへのしわ寄せは常軌を逸しています。五日の衆院予算委員会で、日本共産党の吉井英勝議員が現地調査に基づいて具体的に政府を追及しました。

 あるトヨタの下請けは、三カ月前の発注内示、一カ月前の確定内示で一万個の部品を、一つ百円の単価で納めることになっていました。その準備で、下請けは必要な設備や材料を用意し、人を雇って教育訓練もやりました。ところが一週間前に突然五千個に、さらに三日前に七百個に、一方的に発注が変更されてしまいました。

 売り上げが百万円から一気に七万円に下がり、材料費を払えば設備投資の借金の返済もできず、従業員の賃金も出せなくなりました。下請け代金法に違反した横暴なやり方です。

 自動車産業は重層的な下請け構造で、本社を頂点としたピラミッドのようにすそ野が広がっています。本社が二割の減産でも、車種によっては孫請け、ひ孫請けには七割、九割減産という厳しい対応が迫られている実態があります。

 吉井議員が政府に求めたようにピラミッドのすそ野の孫請け、ひ孫請けまで実態を調査し、大企業の無法を是正して、下請けの被害を補償させる必要があります。

仕事と資金繰りの保障

 三大メガバンクは大企業への貸し出しを増やしながら、中小企業向けはこの一年で三・四兆円も減らしています。大企業が年度末の資金対策でなりふり構わず地方銀行にまで巨額の融資を要求し、中小企業向けの貸し出しが締め出される危険もあります。

 大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせる監督・指導を抜本的に強め、中小企業の資金繰りと仕事を保障することが緊急に求められます。

 中小零細企業は日本経済の技術と雇用を支える屋台骨です。内需主導の経済に切り替えるには、その危機の打開が不可欠です。


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