2009年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

イラク きょう地方選

政治制度・政教分離など争点に

全国規模は3年ぶり


 【カイロ=松本眞志】イラクでは三十一日、州議会議員の一斉選挙が行われます。全国規模の選挙は三年ぶり。選挙はクルド人自治区や民族係争の地タミン州など一部を除く十四州で実施されます。州知事や自治体行政職員を選出するところもあります。


 イラク選管は一月なかば、全国四百七の政治会派、一万四千三百人の候補者が、四百四十一の議席を争うと発表。有権者千七百万人のうち、約千五百万人が登録を行ったとしています。

 汎アラブ紙アッシャルクアルアウサトは二十三日、「選挙は、イラクの文化的選択と政治制度などイラクの将来を決定するものとなる」と主張。特定の宗派勢力の国となるのか、政教分離の国となるのかが問われると指摘しました。

 イラクは民族と宗派が混在する国。米国の分断統治策による占領下で、旧フセイン政権を支えたイスラム教スンニ派が排除され、シーア派が政治や治安の実権を握り、勢力争いが激化して多くの市民が犠牲となりました。二〇〇五年の暫定国民議会選挙ではスンニ派勢力がボイコットしています。

 宗派間抗争の教訓から、昨年九月に選挙法を改正。今回の選挙では、党派別候補者名簿投票方式から直接候補者投票方式に改められました。選挙法改正にあたりイラク連邦議会では、スンニ派やクルド人政党を含む全会派が粘り強く協議を重ね、合意に達しました。

 カタール紙ペニンシュラは法改正直後、「民主主義への着実な道のり」との社説を掲載。「イスラム教シーア派、スンニ派、クルド人が、自らの社会的合意を実現できるならば、アラブ世界において最初であるだけでなく、合意に基づく政府形成が可能であることを証明するものとなる」と期待を表明しました。

 一方、ニネベ州都モスルなどクルド人やアラブ人、トルクメン人など民族が交錯する地域では、過去数十年間武力抗争が絶えなかったことから、選挙でもし烈な争いが予想されています。

 選挙は世界的にも注目を受け、国連、アラブ連盟、イスラム諸国会議機構(OIC)、欧州連合(EU)など十四の国際諸組織・団体が選挙監視要員を派遣。イラク国内でも六万人近くが選挙監視のために動員されています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp