2009年1月30日(金)「しんぶん赤旗」
「戦後最長の景気拡大」 大企業は…
利益・配当は大幅増 給与は減少
「いざなぎ」「バブル」と様変わり
内閣府は二十九日、有識者で構成する景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大大学院教授)を開き、二〇〇七年十月が今回の「景気拡大局面」の山で、翌十一月から後退局面に入ったと判定しました。二〇〇二年二月から始まったとされる今回の「景気拡大局面」は五年九カ月継続したことになり、「戦後最長」となります。今回の特徴は、大企業は史上空前のもうけをあげたものの、庶民には「景気拡大」の実感がなく、貧困と格差が広がったことです。
これまでの景気「拡大局面」では、「いざなぎ景気」(一九六五年十一月―七〇年七月・四年九カ月継続)、「バブル景気」(八六年十二月―九一年二月・四年三カ月継続)ともに、大企業がもうけを増やすのに応じて、従業員の給与も増えました。
しかし今回の「景気拡大局面」では、大企業(資本金十億円以上)は経常利益をバブル期の二倍近くに増やしたのに、従業員給与はむしろ減らしています。その一方で、株主への配当金は三倍近くにまで伸ばし、大企業が社内にためこんだお金(内部留保)は二百三十兆円までふくれあがりました。
従業員や下請け企業などに犠牲をしわ寄せすることで、大もうけをあげてきた大企業が、米国発の金融危機を契機にした景気悪化に直面するや、こんどは「減収見通し」を理由に、「非正規社員切り」などの大リストラを競いあっています。このため、「景気拡大」を実感できなかった庶民は、「景気後退」局面入りで、いっそうの雇用と暮らしの破壊や不安に襲われています。
景気の山と谷 政府は景気の上昇(拡大)局面から下降(後退)局面への転換点を景気の「山」、下降局面から上昇局面への転換点を「谷」と呼んでいます。転換点(景気基準日付)は、学者や民間エコノミストらで構成される景気動向指数研究会が、景気動向指数の推移を基に判定します。
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