2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」
「アフガン、重大な時期」
暴力横行・大統領選の危機…
英・国際戦略研が指摘
【ロンドン=小玉純一】英国の国際戦略研究所(IISS)は二十七日、二〇〇九年版の軍事年鑑『ミリタリーバランス』を発表しました。チップマン所長は記者会見で、アフガニスタンは米軍がタリバン政権を崩壊させた二〇〇一年以来「最も重大な時期に入った」と述べました。
所長は、アフガンで「暴力が横行し、カルザイ政権の統治が地方に及んでいない」と述べ、「今年予定されている大統領選挙の実施が危ぶまれ、実施されても有効投票数に届かないかもしれない」と事態の重大性を強調。多国籍軍の任務遂行が「危機に瀕(ひん)している」と指摘しました。
年鑑は、「タリバンの戦闘員を反政府活動から引き離す試み」について、「アフガン問題の解決に不可欠だ」と強調しながらも、現状は「わずかな成果にとどまっている」と指摘。「タリバンとのなんらかの形の対話」、アフガン政府の和解の試みに言及しています。
年鑑は、今年設立六十周年を迎える北大西洋条約機構(NATO)の現状について、米軍を含めアフガンに約六万人を駐留させているが、「強固な反乱に直面し、共通の作戦目的を持てずに困難を増大させている」と述べています。