2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」
キヤノン 減収減益でも
内部留保増やす/株主配当は維持
日本経団連の御手洗冨士夫会長が会長を務めるキヤノンは「非正規社員切り」の一方で、内部留保を増やし、株主への配当金も維持していることが、二十八日発表した二〇〇八年十二月期の連結業績で分かりました。
同業績によると、通期としては九年ぶりに減収減益となったものの、売上高は四兆九百四十一億円(前期比8・6%減)、本業のもうけを示す営業利益は四千九百六十一億円(同34・4%減)を確保しました。税引き後の純利益も同36・7%減ったものの、三千九十一億円にのぼります。
内部留保の一部である剰余金(利益剰余金と資本剰余金)は三兆三千三百四十億円を超え、前期と比べ約千六百五十億円増やしています。また、減益のなかでも、年間配当金は前期と同額の百十円(中間配当金は支払い済みの五十五円、期末配当金は五十五円)を予定しています。この結果、税引き利益(純利益)から配当金の支払いに向けられる比率である配当性向は前期の28・8%から44・4%に上昇します。同社は「連結業績を反映して、配当を中心に、より積極的な利益還元に取り組む」(決算資料)としています。
減益となったものの、雇用を維持する体力は十分あり、「非正規社員切り」に走る合理的な理由はないことが、改めて明らかになりました。
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