2009年1月27日(火)「しんぶん赤旗」

主張

2次補正予算

本末転倒の景気「悪化対策」


 定額給付金を盛り込んだ第二次補正予算案の成立をめぐり、国会で大詰めの協議が続きました。

 小泉内閣以来、年金課税の強化や定率減税の廃止、社会保障の改悪で国民は年間十三兆円の負担増・給付減に苦しんでいます。しかも自公政府は、同時に消費税の増税を打ち出しています。

 家計の負担増に比べて、一回限りの給付金はあまりに貧弱です。消費税増税と一体の「対策」は、景気「悪化対策」というほかありません。

責任感のかけらもない

 二十六日の参院予算委員会で麻生太郎首相は給付金について、「厳しい経済情勢の中で個人に直接来る給付はそれなりの効果がある」と改めて主張しました。

 鉱工業生産や機械受注などの生産側の統計も、消費者態度指数などの消費者心理の統計も、まるで墜落するような勢いで悪化しています。雇用や家計を犠牲にして一部の輸出大企業を応援する「構造改革」によって、日本経済が外的ショックに極めて弱い体質になっているからです。

 ところが自公政権には、自らが財界の言いなりに進めてきた「構造改革」が、現在の「厳しい経済情勢」の原因になっているという自覚さえありません。自覚が少しでもあれば、年間十三兆円もの負担増・給付減を続けながら、一回限りのバラマキで「効果がある」などとは言えないはずです。

 消費税増税について河村建夫官房長官も二十六日、講演で「財源の裏付けのない予算を作ってばらまくわけにはいかない」と、財政への「責任」を強調しています。

 国と地方の長期債務を国内総生産の一・五倍にも膨らませた責任は歴代政府・与党にあります。アメリカと財界の要求で一九九〇年代に進めた大型公共事業のバラマキと、大企業・大資産家向けの行きすぎた減税が、財政赤字を大量生産してきました。消費税を5%に引き上げて景気を一気に悪化させた九七年度以後は、バラマキを拡大する一方で税収が落ち込み、赤字の膨張を加速しました。

 しかし、この点でも自公に反省はありません。責任感のかけらもない自公政府が「財政に対する責任だ」(首相)と言い、「責任」を果たすような顔をして再び消費税増税で庶民にツケを回そうとしています。

 週明けに発表された「毎日」の世論調査によると、定額給付金を「評価しない」と答えた人が74%、自民党支持者でも52%が「評価しない」と答えています。政府の消費税増税の方針には「反対」が67%に上り、「賛成」は27%にとどまりました。同日の「日経」調査も同じ傾向です。自公政府は圧倒的多数の国民の声を聞くべきです。

「構造改革」型の転換を

 二次補正は大銀行への公的資金投入や株の買い取り、大企業の約束手形(CP)の買い取り制度など、大企業・大銀行への手厚い支援策を盛り込んでいます。消費税増税の方針を書き込んだ来年度の税制法案には、同時に法人税率引き下げの検討を明記しました。

 日本経済を外需頼みから内需主導に体質改善するには、家計を痛めつけて大企業・大銀行を応援する「構造改革」型の経済政策を根本から転換する必要があります。

 転換どころか本末転倒を強める自公政治に、国民が愛想を尽かすのは当然です。


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