2009年1月26日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

シリーズ結婚

「婚活」「晩婚化」「早婚」…

あなたのカタチは


 「婚活(結婚活動)」「でき婚」「晩婚化」「早婚」――。多様化する結婚のかたちを表すさまざまな言葉を耳にします。さて、みなさんは「結婚」についてどんな考えを持っていますか? 今回から随時掲載で、いろいろな「結婚観」を紹介しながら、いっしょに考えていきたいと思います。


大好きな人でも願望ゼロ

 「結婚願望ゼロです。生まれたときから結婚したい、と思ったことがない」

 島根県出身の愛さん(29)=仮名=は、ミュージカルダンサーを目指し、19歳で上京。以来、アルバイトを転々としながらレッスンの日々を送っています。

 「結婚って、家と家との契約ですよね。個人の自由が奪われてしまう気がして」

 愛さんの母親は、島根県の夫の実家に嫁ぎました。そこで物事の決定権を持っていたのは「おばあちゃん」。

 本当は娘を保育園に預けて働きたかったのに、しゅうとめの意見でかないませんでした。父親も仕事が忙しく、母親の相談には乗れません。

 ひとりで苦労している母を見て、「結婚って大変だなぁ」。つくづく思いました。

 今までに付き合った男性も何人かいます。同棲(どうせい)もOK。でも、どんなに大好きな人でも、結婚は「考えられない」という愛さん。

 結婚して子どもを産む。忙しく働き、保育料や学費を貯金し、育児や家事に追われ、わずらわしい親せき付き合いに時間をとられる。「自分の能力以上のことを求められそう」で、とても考えられないのです。

 愛さんは、「人生の優先順位」がはっきりと決まっています。最も大事なのは「肉体改造」。ダンスです。

 ダンスに自分の全エネルギーをつぎ込みたい。恋人が「その上」にくることはありえません。

 今まで経験したバイトは「数えられない」ほど。そろそろ、定年まで安定した職につきたいという気持ちから、正社員として働ける会社を探しています。

 あれもしたい、これもしたいと、「毎日、自由で楽しくてしかたがない」と話す愛さん。老後は「気のあう仲間同士で、楽しく暮らす」のが理想です。

相手を全世界から探して

 奈美さん(28)と、マイケルさん(34)=いずれも仮名=は、一昨年の夏、フランス・モンマルトルで、親族だけを招いた結婚式を挙げました。

 現在、千葉県内に暮らす2人は、インターネットを通じて知り合いました。

 まだ日本語があまり話せないマイケルさんより、収入は奈美さんの方が、はるかに上。「私だって働けるんだから、お金にはこだわらない。男の人を食わしたってかまわない。だんなに頼る生活はいや」と奈美さん。

 奈美さんは、大学の外語学部を卒業後、得意の英語を生かして外資系の会社に正社員として就職しました。

 待っていたのは、「あれしちゃダメ、これしちゃダメ。宴会で座る位置まで気にしなきゃいけない」という窮屈な会社人生活でした。

 職場ではどれだけ仕事で活躍しても「アシスタント」扱い。「どうやって男性のプライドを傷つけないで仕事をするか」を常に考えなければいけませんでした。

 第一線に立つのは男性で、仕事ができるだけなら「派遣」でいい。「女性に求められるのは、仕事プラスアルファ。細やかな気配りができる、とかね」

 奈美さんは、そんな日本社会のありように疑問を感じ始めました。付き合う男性にも、「『親』という日本特有の男性社会」がついてきて、「お風呂は男性が先に入るものだ、とか言われちゃう」。

 揺れ動いた20代。さまざまな国で生活したり、旅をして得た結論は…。

 私は私でいい。何で日本だけに目を向けていたんだろう。こう思った奈美さんは決意しました。「自分に合った人を、全世界から探せばいいんだ」

 当時、会社で「目立ちすぎる」などと言われ、悩んでいたことをメールで相談していたのが、マイケルさんでした。「彼は、『女だから』なんて絶対に言わない。家庭を、私を、大事にしてくれます」

 2人にとって結婚は、「ずっと一緒にいるための手段かな」。

グラフ

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お悩みHunter

もっとまじめな話がしたい…

  友人と本音で話ができません。周りの友達はみんな、テレビや血液型など「だれも傷つかない」当たりさわりのない話ばかり。内心は「どうでもいい」と思いながら、そういう話に付き合うのも疲れてしまいます。私はもっと恋愛や社会のことなど、まじめな話をしたいのですが…。(高校2年 女子)

焦らず居場所を作ってみては

 A あなたの悩みよく分かります。私も、ともに子育てをしてゆくママ友達との関係で同じ悩みを持ちました。

 そこで、私は本音で話ができるママたちや先生たちと出会いたくて探しました。

 すると「この人たちとなら、まじめな話もどうでもいい話も本音で話しあえて、認めあえる環境をつくりあえるかもしれない」と感じた、ある幼稚園のママたちや先生たちに出会いました。

 今年4月から私たち家族はその幼稚園に通うことに決めました。すごく安心できて、世界が広がる予感がしています。

 高校生の友人たちからも、あなたと同じ悩みを聞いたことがあります。

 その高校生たちは、ありのままの自分でいられる合唱団で活躍したり、社会や政治のことを語りあえる民主青年同盟に入ったり、憲法ミュージカルの実行委員になったり…。本音で語りあえ、ありのままの自分を認めあえる環境や居場所をつくろうとしているようです。

 今はまだ本音で話ができていないあなたの友人たちの中に、あなたと同じ悩みを持っている人がいるかもしれませんね。

 本音で語り合うことは、傷つけあうことではなく、違いを認めあい、わかちあい、平和な世界を取り戻す第一歩だと思います。

 本音で語り合える環境を、焦らず一歩一歩みんなでつくっていきましょう。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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