2009年1月20日(火)「しんぶん赤旗」
ハッピースマイル補助金流用問題
「担保」引き渡し迫る
借入先がさいたま市に
保育園「ハッピースマイル」二十六カ所をいっせい閉園した運営会社エムケイグループ(東京都豊島区、初見雅人社長)が自治体からの補助金を担保に借金をしていた問題で、借入先の人材派遣会社が補助金の引き渡しをさいたま市に求めていたことが明らかになりました。民間会社の保育事業参入によって市民の税金が流用される危うさが浮き彫りになりました。
エム社は二〇〇八年八月に、十月下旬に振り込み予定のさいたま市内の病児・病後児保育室などの業務委託料(補助金)約四百二十九万円を担保の一部にして都内の派遣会社から二千三十七万円の借金をしていました(本紙昨年十一月十九日付)。
エム社と派遣会社が取り交わした証書には「債務を履行しない場合には、直ちに強制執行に服する」としており、返済期限は同年八月末でした。
さいたま市保育課によると昨年十月三十日、派遣会社を名乗る男性から「エム社から業務委託料の債権譲渡がなされました」と、借金の担保として引き渡しを求める電話がありました。
派遣会社が求めた業務委託料はすでにエム社に支払い済みでした。対応した市職員が、その内容を伝え、引き渡しを拒否すると男性は「そうですか」といい、電話を切りました。その後、派遣会社から督促はありません。
エム社の初見社長は本紙の取材に「借入先は上場企業の子会社なので、(担保の差し押さえなどは)しないと思っていた」と答えていました。
派遣会社から連絡があるまで、さいたま市はエム社が補助金を借金の担保にしていたことを把握していませんでした。
ハッピースマイル園は十月末にいっせい閉鎖。さいたま市がエム社に払った約四百二十九万円のうち、先払いした十一、十二月分の業務委託料三百一万円は、現在も返還されていません。こうした補助金の流用について市は「想定しなかったこと」とのべ「これまで保育施設の認定について財政状況を調べてこなかったが、今後検討したい」としています。
「もうけ本位」改め保育の質の向上を
日本共産党の戸島よし子市議の話 エム社と市の契約では補助金の目的外使用を禁じていましたが、流用されたことは、市の監督責任も問われます。
営利企業の参入でこれまででは考えられない問題がおきました。それでも市は「引き続き民間活力の参入が必要」といっており、これでは第二、第三のエム社が出てくる可能性があります。
国の保育の規制緩和に乗って、市内にも園庭がない認可外保育所が増えています。待機児童は減っても保育の質はおかまいなしは許されません。子どもの発達には太陽や土、水のある環境が欠かせません。もうけ本位の保育を許さないと同時に、保育の質向上に取り組んでいきたい。
■関連キーワード