2009年1月20日(火)「しんぶん赤旗」

横須賀で原子炉整備

米空母ワシントン 市民団体、中止要求へ


 米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンの原子炉メンテナンス(点検・修理)作業が米海軍横須賀基地で五日から始まっているとアメリカ・ワシントン州の地方紙「キトサップ・サン」(一月十六日付)で報じていることが十九日、分かりました。

 同紙の報道を確認した原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会(呉東正彦共同代表・弁護士)は危険な原子炉のメンテナンス作業の中止、作業の詳細や安全対策、発生する放射性廃棄物の保管体制、周囲への放射能漏れ防止策などの速やかな情報公開を米海軍と日本政府に求める、としています。

 同紙は、米海軍のピュージェットサウンド造船所の約五百五十人の労働者が「外国での原子力空母の初めてのメンテナンス作業のため日本にいる」と指摘。作業は五月まで続き、中級メンテナンス施設隊マーク・ホイットニー司令官が「プロジェクトは良いスタートを切った」と語ったとしています。

 原子炉メンテナンスのために毎年、四カ月間、労働者グループが派遣され、そのための分遣隊組織がすでに横須賀に設置したことも報じています。

 外務省は本紙の問い合わせに「確認したい」(北米局日米安全保障課)としています。


解説

放射能漏れの危険増大

 日米両政府はジョージ・ワシントンの横須賀配備をめぐって、「米原子力軍艦においてはこれまでもごく日常的な原子炉のメンテナンス作業などは行われてきた」と説明してきました。日米両政府の言う、「日常的なメンテナンス」にわざわざ米国からこうした大量の作業要員を派遣し、分遣隊まで設置するとは考えられません。

 事実、〇六年八月二十五日付の横須賀基地艦船修理所(SRF)の機関紙「シーホーク」は「〇九年、ジョージ・ワシントンが最初の修理期間を迎えた時のために、(略)ピュージェットサウンド海軍造船所から横須賀基地に従業員が派遣される」と記述しています。

 「市民の会」は、米会計検査院報告やサンディエゴ原子力空母母港の環境アセスメントが、原子力空母は二年に一度数カ月かけてふ頭に停止した状態での原子炉のメンテナンス作業を行うことにしている、と指摘。この作業は放射能を帯びた一次冷却水をはじめ、放射能で汚染されたフィルターや部品、配管などを交換します。その際、作業員の被曝、放射性廃棄物の発生と保管問題、なにより周囲への放射能漏れなどの危険性が伴うことをあげ、「実際にピュージェットサウンド海軍造船所などで、多くの放射能漏れ事故が報告されている」と強調しています。

 「市民の会」は、こう警告もしています。

 「横須賀で原子炉の修理作業をしないという日米間の一九六三年以来のエードメモワールの外交合意にも明らかに違反するもの。新たな横須賀の放射能作業基地化の第一歩となる重大な事態です」

 日米両政府は原子炉メンテナンス作業を直ちに中止し、原子力空母の横須賀配備を撤回すべきです。(山本眞直)



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