2009年1月18日(日)「しんぶん赤旗」
主張
消費税増税
審判逃れのこそくな手口
麻生内閣が二〇一一年度から消費税を増税する方針を、近く閣議決定する税制関連法案の付則に明記しようとしています。麻生太郎首相が十五日、中川昭一財務相に「政府として決まったことを進めてほしい」と指示しました。
首相は繰り返し「三年後」に消費税を増税する方針を表明しています。昨年末に閣議決定した「中期プログラム」には、この方針を来年度税制法案の付則に書き込むことを盛り込みました。
まったく別の法律の「付則」に明記することで、消費税増税を「決まったこと」として強行しようとする姿勢です。
決まったことにして
消費税の増税は国民、とりわけ低所得層の暮らしを直撃します。消費税増税というなら、少なくとも総選挙で国民の審判を仰ぐべきです。その審判を受けないうちに、勝手に消費税増税のレールを敷こうというのは民主主義以前の独裁政府のやり方です。
自民党が消費税の導入を強行したのは、ちょうど二十年前の四月です。その前の総選挙では自民党の首相が、「そういうようなことを私がやるもんですか」「この顔がウソをつく顔に見えますか」と演説して回りました。一九九七年に税率を3%から5%に引き上げたときも、前年の総選挙で大多数の自民党候補が「増税を実施しない」と公約していました。
消費税は歴代政府・与党が国民をごまかし、審判から逃げて強行してきた公約違反の税制です。こんなことは三度と許せません。
一昨年の参院選では、当時の安倍晋三首相が「消費税を上げないなんてことは一言も言っていない」と発言し、消費税増税が大きな争点に浮上しました。「それなら事前に参院選で国民の審判を仰ぐべきだ」と追及された安倍首相は、国民の審判を仰ぐのは「次の衆院選で」と、ごまかし通しました。参院選での自公の大敗は、消費税増税でまたもや庶民に負担増を押し付ける方針そのものへの審判であると同時に、自公のひきょうなやり方への審判でもあります。
自公政府は社会保障の財源を増税の口実にしています。しかし消費税は、所得が低い人ほど所得に占める負担の割合が重くなる「逆進性」の強い不公平な税制です。
消費税は不安定雇用のまん延で広がった働く貧困層も、大企業が一方的に寒空に放り出した派遣や期間工も、容赦なく負担させられる税金です。暮らしと福祉の「首を絞める」消費税を増税する口実が「社会保障のため」とは、あまりにも国民をばかにした議論です。
しかも、自公政府は、その社会保障を抑制する路線を二〇一一年度まで続けようとしています。経済財政諮問会議が十六日に決定した「経済財政の中長期方針と10年展望」は、社会保障の自然増を毎年二千二百億円も削減する「歳出改革の継続」を掲げました。
消費税以外の財源で
社会保障を切り捨て続けた上に、社会保障のためだと言って庶民いじめの消費税を増税するなど、何重にも国民を踏みつけにするやり方です。
社会保障の財源は五兆円の軍事費のむだづかいと、ゆきすぎた大企業・大資産家への減税を是正することで生み出すべきです。「逆進性」の強い消費税の増税を強行するのは許されません。
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