2009年1月17日(土)「しんぶん赤旗」
人間「使い捨て」をやめさせるために
――政治の責任で三つの仕事を同時並行で
「派遣村」実行委などの集会 志位委員長のあいさつ
「年越し派遣村」実行委員会などが十五日、東京都内で開いた労働者派遣法の抜本改正を求める集会で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなったあいさつは次の通りです。
みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫でございます。
「派遣村」――命をつなぎ、行政動かす大きな仕事
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私も「派遣村」にうかがいまして、雇用破壊はまさに非常事態だということを、痛切に感じました。「派遣切り」にあって所持金がなくなって、遠くから歩いて、へとへとになりながら、やっとたどりついた方と何人も出会いました。「派遣切り」にあった直後に心理的ショックで一時的な記憶喪失に陥ったという人の話もうかがいました。
そういうなかで「派遣村」の活動が、働く仲間の命をつなぐ大きな仕事をした。そしてばらばらにされていたら見えなかった貧困というものが、ひとところに集まってみたら大変な問題だということが目に見える形になり、社会にその現実が突き付けられ、行政を動かす力を発揮した。これは本当に大きな意義をもつ仕事だったと思います。
私は、この取り組みを支えた実行委員会の方々に心から敬意を申し上げたい。頑張ってこられた「村民」の方々、これからも大変だと思いますが、ともに連帯して、本当に人間らしく暮らせる日本をつくるために頑張る決意を申し上げたいと思います。(拍手)
職を失ったすべての人々に住居と生活と職業を保障する
みなさん、この問題は自然災害ではない、政治が引き起こした「政治災害」だということを、私は申し上げてきました。
したがって政治の責任で、これから先、三つの課題を同時並行ですすめなければならないと決意しています。
第一は、「派遣切り」、「期間工切り」にあって職を失ったすべての方々に、政治の責任で住居と生活と職業を保障する。それを最後の一人までやりきることであります。
「派遣村」にたどりついて新しい道に歩みだすことができた人は全体のほんの一握りだと思います。政府の責任で全国に必要な個所に避難所を設け、総合的な相談と対策の体制をつくることを強く求めていきたい。
そのさい、雇用保険の積立金が六兆円以上にのぼります。これを効果的に活用し、雇用保険に未加入の方々にもしっかりこれを使って、生活、住居、職業の保障を政治の責任でやる。こういう体制をつくることを求めて頑張りたいと思います。(拍手)
これ以上の被害者を出してはならない――「非正規切り」防止の緊急措置を
第二は、これ以上の被害者を出してはならないということです。昨年末で仕事を切られた方は、契約の期間中途の解雇だった方も多かったわけですが、これから先は契約期間満了の雇い止めが大量に生まれてくることが心配されます。
とくにこの年度末、三月末にむけて、雇い止めが一ケタ多い規模で起きることが大変心配です。
ところが、今の法律の仕組みですとなかなかこれに対応しきれない。とりわけ契約期間満了の雇い止めとなりますと、派遣の場合でも、期間社員の場合でも、これを救うのは、もちろん現行法のもとで、頑張ってたたかっていく必要がありますけれども、限界もあるでしょう。
ですから、契約途中の解雇は違法ですからこれを許さないことはもちろんですけれども、契約満了での雇い止めも乱用は許さない、こういう「非正規切り」防止の緊急措置をとることが、新規立法もふくめてどうしても必要だと思います。そのためにお互いに力をあわせて頑張っていきたいと思います。これ以上、被害者を拡大するなという決意を、みんなで固めようじゃありませんか。(拍手)
二度と「政治災害」を起こさない――派遣法の抜本改正を
そして第三は、二度とこういう「政治災害」を引き起こしてはならない。そのために派遣法の抜本改正が必要です。
いま製造業の派遣を禁止に踏み込もうという動きが出てきております。これは、労働者のみなさんのたたかいがつくった、一歩ではありますが前向きの変化であると思います。しかし、考えなければならないのは、製造業の派遣なら禁止だが、サービス業の派遣はいいのか、物流の派遣はいいのか、どんな業種であれ、「使い捨て」労働は許さないというところで団結することが重要ではないでしょうか。(拍手)
そのことを考えると一九九九年の派遣労働の原則自由化にぶつかってまいります。九九年までは派遣労働は原則禁止でした。「使い捨て」労働にはならないと一応みなされた業種にだけ例外的に限られていたのであります。それを原則自由化にしてしまって禁止の部分はこれだけだよと、いわゆる「ネガティブリスト」に変えてしまった。百八十度の転換が起こったわけです。
やはり問題を解決しようと思えば、九九年の大改悪以前に戻す抜本改正が必要ではないか。野党がこの一点で力をあわせ、与党にも働きかけて、ぜひその抜本改正を実らせるために、ご一緒に力をあわせていく決意を申し上げまして私のごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)
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