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2009年1月16日(金)「しんぶん赤旗」
対テロ対策口実の人権侵害
米に政策転換を要求
国際人権団体
【ワシントン=西村央】国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は十四日、二〇〇八年の年次報告を発表し、キューバにあるグアンタナモ米軍基地で法的手続きもないまま依然二百五十人余が拘束されていることなどを指摘し、テロ対策の名のもとで人権侵害を続けてきた米ブッシュ政権を厳しく批判しました。
同日ワシントン市内で会見したケネス・ロスHRW代表は、「米国が、ブッシュ政権下の虐待容認の政策を転換し、国際的な信任を勝ち得る新しい時代とする好機である」とのべ、オバマ新政権のもとでの人権問題の進展に期待を表明しました。
また傲慢な単独行動主義により、効果的な多国間外交を損なってきたこれまでの政策をやめ、国際刑事裁判所への加盟など主要な人権問題での条約を批准する必要性を強調。米国が、人権問題での国際社会の協調に加わるよう促しました。
同代表は、イスラエルの侵攻で犠牲者が激増しているガザ地区の現状にふれ、犠牲者の40%が女性や子どもであるとして、武装抵抗組織ハマス以外の市民の犠牲者が増えていることを指摘。イスラエル軍の「白リン弾」使用については、人口密集地で使うべきではないと非難しました。
五百六十四ページにわたる年次報告のなかでは、HRWのスタッフによる二〇〇八年の調査活動をもとに、国家や、武装集団による人権侵害の実例を記述。アフガニスタン、コロンビア、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、グルジアなどでの紛争で市民が犠牲になっていることにも触れています。