2009年1月15日(木)「しんぶん赤旗」

主張

二次補正強行

「暴走」で「迷走」は隠せない


 自民党と公明党が、総額二兆円の定額給付金や、大企業・大銀行への手厚い支援策を盛り込んだ第二次補正予算案の採決を衆院で強行しました。

 給付金は誰に支給するか、所得制限をどうするか、閣僚は受け取るのか、麻生太郎首相を先頭に政権の対応はふらふらです。給付金を受け取る高所得者は「さもしい」とまで首相が言い、閣僚が辞退を表明すると、細田博之・自民幹事長が「格好を付けている」と悪口をたたいています。

 党利党略に根ざした「迷走」を乱暴な採決強行で覆い隠そうとしても、そうはいきません。

国民の8割が反対

 今週初めの世論調査によると国民の圧倒的多数が定額給付金と政府の景気対策に反対しています。

 「読売」の調査では給付金をやめて「雇用や社会保障などに使うべきだ」という人が78%に達します。「産経」・FNN調査では、給付金の二兆円は「ほかの政策に回すべきだ」、政府の景気対策は「評価しない」と答えた人が、いずれも八割に上りました。

 自公の景気対策が、日本経済を立て直す道筋と方策を真剣に検討したものではなく、選挙目当ての政権延命策でしかないことを国民は見抜いています。

 一年前と比較した日本の鉱工業生産はマイナス16・2%、戦後最悪の減少です。これに対して、アメリカの鉱工業生産はマイナス5・5%にとどまっています。

 日本の生産が金融危機の震源地のアメリカよりも急速に悪化している原因は、内需の冷え込みが続き、アメリカ依存の外需頼みに偏った日本経済の特質にあります。財界と自公政治の「構造改革」が、減税や雇用の規制緩和で輸出大企業の応援を強め、そのしわ寄せを労働法制と福祉の改悪、増税で家計に押し付けてきた結果です。

 日本経済を立て直すには、内需を犠牲に大企業が外需でぼろもうけするゆがんだ構造、アメリカがくしゃみをすれば風邪を引くもろい体質を改める必要があります。

 小泉内閣以降の十三兆円もの国民負担増を考えれば、一時的な給付金ではわび状にもなりません。しかも、自公政府は三年後に消費税を増税すると言っています。自公の姿勢からは、暮らしと経済を景気悪化の荒波から守る気概と真剣さのかけらも感じられません。

 当面の最大の問題は、十分な経営体力を持つ財界トップ企業が、率先して大規模な期間工・派遣切りに乗り出していることです。雇用悪化と景気悪化の悪循環を止め、内需の冷え込みに歯止めをかけるには、身勝手な「首切り」をやめさせることが不可欠です。

内部留保を取り崩せ

 派遣労働を原則禁止から原則自由に百八十度転換した一九九九年の派遣法改悪以来の八年間で、資本金十億円以上の大企業は内部留保を六十兆円も増やしています。ため込んだ内部留保は総額二百四十兆円に上り、0・2%を取り崩すだけで「首切り」を中止し、雇用を維持することができます。

 衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員の追及に、麻生首相も「内部留保の扱いは(大企業に)重ねて言わなければならない」と答えざるを得ませんでした。

 やるべきことは明白です。国民をないがしろに、政略に明け暮れている場合ではありません。



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