2009年1月13日(火)「しんぶん赤旗」
保有国は義務を果たせ
核兵器廃絶へ
独元首脳ら論文
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ドイツのシュミット元首相やワイツゼッカー元大統領ら著名な政治家四人は「核兵器のない世界に向けて ドイツの見解」という論文を発表し、二〇〇七年に米国のキッシンジャー元国務長官らがよびかけた「核兵器廃絶」の提案に「全面的な支持」を表明しました。
十日付の国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンに発表された論文には両氏のほかバール元東方問題担当特務相、ゲンシャー元外相が名を連ね、ドイツからの提案として、核不拡散条約(NPT)に決められている核保有国による核兵器削減義務の順守の重要性を強調しています。
キッシンジャー氏らの訴えに応えた元政府閣僚による核兵器廃絶の声明は、昨年の英国、イタリアの元閣僚らに続くものです。
シュミット元首相ら四氏は論文のなかで、キッシンジャー氏らによる「核兵器の脅威のない世界の概念の再活性化」「米国とロシアによる核兵器大幅削減交渉の推進」の提案に加え、次の三点を強調しました。(1)ことし期限を迎える戦略兵器削減条約(START)の延長が米ロ間の最も緊急課題である(2)二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議へ向け、核保有国がNPTの下での核兵器削減の誓約を堅持すること(3)弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を再締結すること。
さらに論文は、核兵器、生物・化学兵器の使用を放棄しているドイツには、核保有国にたいして非核保有国への核兵器不使用を要求する根拠があると主張。米核兵器のドイツ領内からの撤去を要求し、米ロが核先制使用政策を放棄していない中で、核先制不使用条約は「緊急に必要なステップ」となると強調しました。
また、ポーランドとチェコへの米国のミサイル防衛(MD)基地の展開が安全を脅かしていると警告。「グローバルな問題は対決と軍事力使用では解決できない」と指摘。「協力が今世紀のキーワードだ」として、「北半球の協力と確実な安定が核兵器のない世界への道の一里塚になる」と主張しています。
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