2009年1月12日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPRESS
私の国の成人式は
何歳からおとな? お祝いイベントある?
12日は「成人の日」。全国各地で成人式が行われ、街を歩く華やかな晴れ着姿の新成人は、すっかり日本の風物詩になりました。ところで、海外では「成人」をどんなふうに祝っているのでしょうか。外国人の多い東京・原宿などで聞いてみました。(平井真帆、栗原千鶴)
政治参加に大きな意味
アメリカ
「18歳になって投票できるようになったことが、僕にとって一番大きな出来事でした」と、話すのはアメリカ人のアレックスさん(26)です。
「政治に参加することは、社会の一員になること。自立し、自分自身の責任をとれることが、おとなになるということだと思います」
アメリカには成人を祝う特別なイベントはなく、アレックスさんも18歳の誕生日を友人たちとパーティーを開いて祝いました。
「日本の成人式のような、子どもからおとなになるためのイベントがあるのはいいことですよね」
誕生日に親とバーに
フィンランド
フィンランドから旅行に来ているというマリアさん(19)とミリアさん(18)。
フィンランドで「飲酒、喫煙、車の免許が取れる、選挙に行ける」いわゆる「成人年齢」は18歳。ですが、「特別なことは何もしない」と2人は口をそろえます。
ミリアさんの18歳の誕生日には友人がパーティーを開いてくれ、CDや本をプレゼント。両親はバーに連れていってくれました。
日本の成人式についてたずねると、「自分の誕生日ではないのに、ほかの人と一緒に祝うのはちょっと変な感じ」と、戸惑い気味の様子でした。
21歳盛大にパーティー
オーストラリア
オーストラリア出身のタティアナさん(37)は、21歳の誕生日に成人を祝うパーティーを開いたと話します。
オーストラリアでは、飲酒、喫煙、投票ができる年齢は18歳ですが、21歳になると「一人前」とみなし、その誕生日を盛大に祝う習慣があるそうです。
タティアナさんはボーイフレンドから「カギの形をしたダイヤモンド付きのネックレス」をプレゼントしてもらいました。「カギ」は、自由と自己責任を伴う「一人前」の象徴だといいます。
「お祝いの特別な食べ物? シャンパンを飲んだことかしら」と笑いました。
「花束と香水とキス」
韓国
お隣、韓国では、日本と同じく「20歳」が成人です。ソウル在住のアン・ジョンミさん(34)は、「韓国では5月の第3月曜日が『成人の日』です」と話します。
昔は地域で成人を祝う伝統の儀式をするところが多かったようですが、現在では、日本のようにみんなが集まって行う式はあまりないようです。
最近では成人を迎える20歳の誕生日を、おしゃれをして友人や恋人と過ごす人が多いといいます。
アンさんも恋人に「バラの花を20本と香水をプレゼントしてもらい、お祝いのキスをしてもらった」と照れます。恋人からの成人のお祝いは「花束と香水とキス」が韓国での定番だそうです。
12歳に丸刈りでお祝い
ネパール
ネパールからの留学生、ラメスさん(24)とハゼンドラさん(24)。日本語学校に通う2人は日本語も流ちょうです。
ラメスさんとハゼンドラさんの住む地域では、成人のお祝いは12歳のときに行います。自宅に家族や友人を招き、男の子は頭を丸刈りにそって、お祈りをしてもらったと話します。
ネパールでは、男性と女性では、成人の祝い方がまったく違うそうです。
日本の成人式はまだ見たことがないという2人。「どこでやっているんですか? 楽しそうですね」と興味津々の様子でした。
18歳選挙権
共産党はこう考えます
日本共産党は、党創立(1922年)の直後から「18歳以上のすべての男女にたいする普通選挙権」を主張するなど戦前から一貫して18歳選挙権を主張してきました。
現在の世界では、「18歳選挙権」が大勢です。
日本の現在の法体系でも、18歳から20歳未満の青年は、労働法や納税義務などでは、事実上の成人として、社会的な義務を負わされています。
ところが、政治上の権利を保障しないというのでは、不公平ではないでしょうか。
すでに、地方自治体の住民投票では認められるようになってきました。
日本共産党は「若者の声や願いを政治に生かす立場で、18歳選挙権を実現します。18歳以上の若者が、社会を構成する『成人』として一人前の法的・社会的な権利と責任を果たせるよう、必要な改革をすすめます」と約束しています。
お悩みHunter
上司のいじめで退職迫られて
Q 上司からいじめを受けて精神的に追い詰められ、会社に何とかしてくれと訴えました。でも、取り合おうとせず、逆に退職を迫られ、納得できません。友達に相談したら、労働審判という制度があると聞きました。どんな制度なのですか?(29歳女性)
迅速で実効性ある労働審判
A あなたの場合は、上司のいじめに対する会社の職場環境配慮義務違反と違法な退職強要が問題となると考えられます。
一般的には労働審判で迅速・適切な解決が十分可能だと思います。
ただし、事案によっては、労働審判に適さないこともあります。一度弁護士などに相談するといいでしょう。
労働審判制度は、個々の労働者と雇用主の間の紛争(使用者と労働組合の間の紛争は除きます)に関し、労働審判委員会が紛争の実情に即して迅速・適正かつ実効的な解決を図ろうとするものです。
労働審判委員会は、審判官(裁判官)1人と審判員2人で組織します。労働審判委員会が審理した上で、当事者双方の話し合いによる解決である「調停」を試み、調停に至らない場合は労働審判委員会による「審判」を下します。双方のいずれかが審判に異議を申し立てれば、訴訟へ移行します。
労働審判は、3回以内の期日で審理を終結するのが原則です。2006年4月からスタートした労働審判のこれまでの平均審理期間は74.9日で、約70%で調停が成立し、審判を受け入れたものを含めると約80%が労働審判手続きで解決したと報道されています。
通常訴訟に比べて迅速で実効性ある解決が期待できます。
弁護士 岸 松江さん
東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。