2009年1月10日(土)「しんぶん赤旗」
雇用創出・家計を支援
メキシコ政府 金融危機で対応策
【メキシコ市=島田峰隆】メキシコのカルデロン大統領は七日、メキシコ市内で演説し、米国発の世界金融危機への対処策として、雇用の創出や家計への直接支援に重点を置いた国民生活支援策を発表しました。
カルデロン大統領は、昨年十月に政府が内需刺激策を発表した後も「危機は極めて深刻になっている」と強調。今回改めて対策を発表したのは、「悪影響を最も早く克服し、国民、特にすべての貧しい人々の雇用と家計を守るためだ」と説明しました。
今回の対処策によると、政府は、金融危機で職を失った人を救済する「臨時雇用計画」を強め、公立学校の建設や修復、遺跡の保存、道路の修繕などの分野で約二十五万人分の雇用をつくります。
さらに失業者とその家族の病気治療などにかかわる社会保険の枠を拡大するために、二十六億ペソ(約百八十億円)を拠出します。
国民の所得を増やす施策としては、今年いっぱい全国でガソリン価格を凍結すること、家庭向けガスの価格を10%値下げすることを発表。電化製品の買い替えの際の支援として、七億五千万ペソ(約五十二億円)を充てます。
中小企業向けには、工場などでの電気代の値下げや直接融資の拡大を挙げています。
米国に隣接し、北米自由貿易協定を結んでいるメキシコでは、金融危機と米国経済の低迷の影響が国民生活を直撃しています。二〇〇九年の経済は大きく悪化する見通しで、マイナス成長を予測する民間機関もあります。
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