2009年1月10日(土)「しんぶん赤旗」

主張

「派遣村」

政治の責任で支援尽くせ


 無法な「派遣切り」「期間工切り」で仕事も住まいも失った人たちが、寒空のもと路頭に迷い、文字通り生死にかかわる深刻な社会問題となっています。

 年末から年始にかけ市民・労働団体が東京・日比谷公園に設置した「年越し派遣村」には五百人近くが詰めかけました。厚生労働省は二日になってようやく公園の目の前にある庁舎の講堂を開放し、五日以降は都内の四施設を確保しましたが、それも十二日までです。多くがまだ住まいや仕事のめどが立っていません。生活困窮者への支援を尽くすことは、国と自治体の重大な責任です。

「民間」任せにしないで

 「ここへ来てはじめて人間らしい温かみを知ることができた」―準備された炊き出しの食事を口に運び、久しぶりの寝場所に体を休めながら語ることばには、文字通り、人間としての率直な喜びと、気持ちの通いあいがあります。日比谷公園だけでなく、全国各地でもボランティア団体などが、仕事も住まいも失った人たちへの支援に取り組んでいます。

 問題は、こうした民間の善意や自発的な活動ではとうてい手が届かないほど、多くの人たちが仕事と住まいを失い、路頭に迷っていることです。いったん施設に移ることができた「派遣村」の人たちも、仕事や住まいが見つからないままでは再び路頭に迷うことになります。最後の一人まで生活と住居の確保を支援し、仕事が見つけられるようにすることは、国と自治体がやらなければならない最優先の仕事です。

 これらの人たちが仕事と住まいを失うことになったのは、決して自己責任などではありません。景気がいいときには「派遣」や「請負」など「非正規」の労働者を増やして大もうけしながら、少し減りそうになると「使い捨て」のように切り捨てた大企業と、相次ぐ「規制緩和」で非正規労働の拡大を進め、違法な中途解雇さえやめさせる十分な対策をとってこなかった政府にその責任があります。

 もともと政府は、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する責任があります。仕事を失い生活の糧(かて)を断たれた人に生活保護などの支援を行い、住まいや医療などを支援するのは政府の責任です。同時に国民には勤労の権利があります。働く意欲があるのに仕事がない人に就職をあっせんし、無法な労働条件が押し付けられないよう支援するのも政府の責任です。

 国会(参議院)は、政府が離職者の住居の確保や円滑な再就職などを機動的に支援し、生活保護などの活用に全力で取り組むことを求める決議を、全会一致可決しました(七日)。政府はこうした国会の意思を実行するためにも、支援の手を尽くすべきです。

解雇やめさせることを

 支援の強化と同時に、いま重要なのは、これ以上新たに仕事と住まいを失う人を生まないための対策です。大企業は「派遣」などの三年間の期限が満了しても法律に定められた正社員化などの措置をとらず、「雇い止め」で大量解雇することが懸念されます。無法な解雇をやめさせる、実効ある措置は急務です。

 人間らしい暮らしと雇用が守られるよう、なにより政府に責任を果たさせることが不可欠です。



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