2009年1月9日(金)「しんぶん赤旗」

政府・与党

武器使用を検討

海賊新法 憲法違反は明白


 アフリカ東部ソマリア沖の海賊取り締まりを口実とした派兵新法で、政府・与党は海賊に対処するための武器使用を検討していることが八日までに明らかになりました。

 従来の海外派兵法規では、武器使用は正当防衛や緊急避難に限られていました。これを海賊取り締まりのための「任務遂行」にまで拡大すれば、憲法が禁じる海外での武力行使となることは明白です。また、自民・民主両党が制定を競っている派兵恒久法の布石にもなる危険な動きです。

 さらに、検討中の新法では「国際協調」を理由に、外国船舶が被害に遭った場合も自衛隊の対処が可能だとしています。日本防衛はもちろん、日本人の保護にも無関係な軍事行動となり、集団的自衛権の行使につながるものです。

 海賊対策として政府は当面、現行自衛隊法八二条に基づく「海上警備行動」を発令して海上自衛隊護衛艦の派兵を急ぐ意向ですが、この場合、正当防衛などを除いた武器使用は困難です。

 与党関係者は「目的・任務を達成するためには、海賊の抵抗を抑止するための武器使用が必要になる」と指摘。海賊船から攻撃を加えられていない場合でも、威嚇射撃や船内への立ち入りの際の海賊の武力抵抗への応戦などを可能にする新法の必要性を強調しました。

 昨年十一月には、日本財団のシンクタンクである海洋政策研究財団(会長・秋山昌広元防衛次官)が、ソマリア沖への自衛隊派兵を求める提言を麻生太郎首相に提出。新法で(1)海賊船の近傍海域への威嚇射撃(2)船体への威嚇射撃(3)航行不能化のための射撃(4)乗船検査に武力抵抗する海賊に危害を加える射撃―を可能にするよう求めています。



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