2009年1月9日(金)「しんぶん赤旗」
主張
農業・食料
再生に本格的に踏み出す年に
ことしこそ、日本農業の再生と世界の食料問題の解決にあらたな展望を切り開くことが求められている年です。
農政転換は国民的要求
昨年は、世界の穀物需給のひっ迫と価格の高騰で、食料の海外依存がますます困難になっていることをしめしました。貿易拡大一辺倒のWTO(世界貿易機関)体制では、日本と世界の食料問題の解決もできないことがあきらかになり、その見直しと食料主権の保障が緊急にもとめられています。
一方、相次いだ食の安全侵害は、無限定な規制緩和やもうけのためには何でもありの新自由主義的政策に、大きな問題があることをあきらかにしました。
国際競争力を理由にした大規模化偏重の農政は、農業と農村から活力を奪い、食料の生産基盤を破壊しました。自民党の農業・食料政策の破たんは、否定のしようもありません。農業・農村の衰退は内需を冷え込ませ、景気悪化の大きな要因にもなっています。
日本共産党は昨年三月、「食料自給率の向上を真剣にめざし、安心して農業にはげめる農政への転換を」と題する農業再生プランを発表し、全国各地で生産者、消費者をはじめ、関係者との懇談・討論を続けてきました。農政や農協関係者をはじめ多くの人々から歓迎され、農政転換の世論を広げる力になったと確信します。
食の安全侵害にたいする原因の究明と再発防止、国内生産の拡大とそれを基本にした食品加工、地産地消の推進など、生産者と消費者の協力・共同による、日本農業の再生と食の安全をめざす運動もあらたな広がりをみせています。
こうした世論と、食料をめぐる情勢変化のもとで、食料自給率の向上や食の安全確保は与党をふくむすべての政党が強調するようになりましたが、それをどうすすめるかがことしの重要な争点です。
政府・与党は、現在40%の食料自給率の50%への引き上げ、「水田フル活用」と減反見直しなどを打ち出しました。農政の見直しは不可欠ですが、政府・与党に今日の危機をまねいたことへの反省はありません。
そのため政策の中心は、WTO協定を前提にした国際競争力の強化であり、大規模化、法人化の推進、株式会社に農地利用を全面開放する農地制度改革など、食料と農地を営利企業にゆだねる方向です。これでは、消費者国民の切実な願いにこたえ、地域農業と農業者の力を引き出すことにはなりません。
農家と地域農業を基本に
日本共産党の農業再生プランが提起しているように、農業再生の基本は、生産を担っている農家と各種の共同組織、自らが農地を耕すことを望む農外からの参入者など、地域に定着する生産者と集落を支えることに力を注ぐべきです。
その中心は、食料自給率の向上を国政の重点課題に位置づけ、価格保障・所得補償の本格的な実現、飼料用稲をふくむ水田を生かす国産飼料の生産拡大、食品加工の振興と地産地消による国産品の消費拡大と安全対策の強化など、安心して農業にはげめる条件づくりであり、食料主権を保障する貿易ルールづくりです。
その実現にむけ、生産者、消費者をはじめ、国民的な共同を大きくひろげることが求められます。
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