2009年1月5日(月)「しんぶん赤旗」

幅広く130団体訪問

「核兵器なくす署名」 協力次々

徳島県原水協


 全国で取り組まれている新国際署名「核兵器のない世界を」。二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議を翌年に控えた今年、取り組みの正念場を迎えます。精力的に運動を進める原水爆禁止徳島県協議会(徳島県原水協)の団体訪問に同行しました。(行沢寛史)


 「こんにちは。いきなりで申し訳ないですが、いま核兵器をなくそうという署名の協力をお願いしてまわっています」―。名刺を渡し、自己紹介するのは、徳島県原水協事務局長の神野美昭さん(72)。いま県内のあらゆる団体を訪問し、署名の協力を呼びかけています。

連合系の労組にも

 この日は、徳島県原水協代表理事の中内輝彦さん、徳島県民医連事務局長の吉田泰英さんが一緒に訪問。徳島県の商工会連合会や木材団地協同組合連合会、徳島市観光協会をはじめ、労働福祉会館や林業センターなどに入居するほぼすべての団体を訪問しました。連合系の労組にも呼びかけるなど、多くの団体はこれまでに付き合いはなく、事前の連絡もしていません。

 「以前なら『ちょっと…』という感じでしたが、今回はとても雰囲気がいいですね」と神野さん。訪問先では、署名リーフを開いて、二万六千発の核兵器があること、世界で核兵器廃絶の世論が高まっていることを紹介。「核兵器廃絶は人類的な課題です。世論を広げるために署名に協力してもらえませんか」とよびかけると、どこでも「わかりました」「預かります」の返答が。各団体に五枚から十枚の署名用紙と返信用封筒を手渡したほか、木材団地協同組合連合会では加盟する十一組合に直接よびかけてもらえることになり、二百枚の署名を預けました。

 話題は、核問題だけでなく、経済問題に及ぶことも。「林業はかつてない不況。スギの値段も下がって大変」「給与が10%、手当が12・5%カットされた」など景気悪化のもとでの苦しい実態が語られ、「くらしを守る政治にするためにも、核兵器を廃絶する政治の実現が求められているんですね」など、対話がはずみます。

 昨年までに約百三十団体を訪問。徳島銀行からは二度の返信があり、合計で五十九人分がよせられたほか、森林組合連合会からも返信がありました。

有力者も訪問活動

 訪問活動は、幅広い分野で活動する人と一緒に進めています。美馬商事会長の美馬準一さん(82)はその一人。中学校の友人を原爆で亡くし、徳島の空襲で母を失いました。「中学を卒業する一九四四年、私は広島高等学校理科を受験しましたが、不合格。もし合格していたら、一年後に私も原爆で死んでいたんです」と、運動に参加するようになった思いを口にする美馬さん。神野さんといっしょに、かつて理事長を務めた徳島総合流通センターに入る問屋四十四社や、幼なじみの佐那河内村村議会の元副議長を訪問し、署名の協力をよびかけました。「この署名は、どこでも、だれでもやってくれるね」と。美馬さんは実感を話します。

 「県民一割にあたる八万人を突破するのに必要な運動をつくりたい。そのために千団体への訪問活動とあわせて、二十五市町村すべてに原水協を立ち上げ、原爆パネル展を開催できるようにしたい」と語る神野さん。「世界を動かすのは大国の権力者ではなく、各国国民の道理ある運動です。県内の隅々で草の根の運動を広げ、核兵器廃絶の世論を広げたい」と、今年の運動の飛躍を誓います。



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