2009年1月4日(日)「しんぶん赤旗」

課題は中東・景気・温暖化

EU議長国のチェコ


 【ロンドン=岡崎衆史】欧州連合(EU=二十七カ国)の今年前半の議長国を一日からチェコが務めています。チェコ政府は、景気回復や地球温暖化対策とともに、外交を重要分野として挙げ、さっそくイスラエルによる空爆が続くパレスチナのガザ地区における停戦実現に向け動きつつあります。

 チェコのシュバルツェンベルグ外相は、EU代表団を率いて四日から六日まで中東を歴訪する予定。五日にはイスラエルとパレスチナの双方を訪れます。

 対外関係でEUはまた、二十日に発足するオバマ米新政権との良好な関係の確立を重視し、中東和平やテロ対策、地球温暖化政策で新たな関係進展に期待しています。

 プラハからの報道によると、チェコのトポラーネク首相は一日、チェコ・テレビで、ブッシュ米大統領が「中東問題をおろそかにした」とし、オバマ次期大統領が「同じ間違い」を繰り返さないようクギを刺しました。

 一方、金融危機と経済の悪化を受け、EUは昨年末、包括的景気対策「欧州経済回復計画」を採択。今後二年間に域内総生産(GDP)の約1・5%に当たる約二千億ユーロを投入して、需要拡大、雇用確保、中小企業活動の支援を行う予定です。

 エネルギーと地球温暖化の問題に関連してEUは、二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比で20%削減し、再生可能エネルギーの比率を20%に引き上げることを含む包括策で合意。二〇一三年以降の温室効果ガス削減の枠組みで国際社会が年内に合意するため、けん引車となろうとしています。

 もう一つの課題は新基本条約「リスボン条約」の発効問題。未批准国は、昨年六月の国民投票で条約を否決したアイルランドと、今回議長国のチェコの二国だけ。アイルランドでは十月にも国民投票を再実施の予定です。チェコは議長国の責任にかけて批准手続きを進めることが迫られています。


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