2009年1月1日(木)「しんぶん赤旗」

主張

新年にあたって

希望と温かさ切り開く年に


 深刻な金融・経済危機のなか、「おめでとう」のことばもはばかられるような年明けです。

 しかし、事態が深刻なときこそことの本質は見えやすくなるともいいます。貧困と格差の拡大のあげくの「派遣切り」「期間工切り」という無法な仕打ちで、大企業のもうけさえ増やせば暮らしがよくなるといった、新自由主義の政策は急速に色あせました。

 「労働者の使い捨ては許さない」―人間らしい雇用と暮らしを求める国民のたたかいは、急速に広がっています。新年を、希望と温かさを切り開き、さらに広げる年にしたいものです。

新自由主義破綻の節目

 「大破局」「『恐慌』突入」「世界恐慌の襲来」…本屋の店先には、金融・経済危機の深刻さを強調した本があふれます。『資本主義はなぜ自壊したのか』のタイトルにひかれて手にとり、驚きました。

 “グローバル(巨大)資本を国境を越えて自由に動き回らせた新自由主義こそ、今回の危機の主たる原因である”―。中身だけでなく、書いたのがかつては代表的な新自由主義者で「構造改革」路線の急先鋒(せんぽう)と自任する経済学者だったからです。宣伝文句に「懺悔(ざんげ)の書」とまであります。文字通り、新自由主義破綻(はたん)の節目の年です。

 市場任せの規制緩和路線など、大企業のもうけ本位で弱肉強食の経済政策を進めた新自由主義の政策の失敗は、いまや誰の目にも明らかです。昨年秋の米投資銀行リーマンの破綻で一気に表面化したアメリカ発の金融危機が金融のバブル(泡)を破裂させただけでなく、貧困と格差を異常に拡大した新自由主義路線が重なり合って、世界に被害を広げています。

 金融バブルが崩壊したのは大銀行や大資産家が大もうけをねらってマネーゲームに狂奔したためで、国民の責任ではありません。にもかかわらず、日本で金融危機のツケを真っ先に押し付けられたのは、労働法制の規制緩和によって大量に生み出された派遣や請負など非正規の労働者です。しかも内需を犠牲に輸出に依存するゆがんだ経済構造のもとで、輸出企業のツケが重くのしかかっているのです。問われるべきは新自由主義の誤った政策を進めた政府と大企業の責任であり、国民が「自己責任」をいわれる筋合いはありません。

 トヨタやキヤノンなどの大企業が金融・経済危機に周章狼狽(ろうばい)して、先を争い「派遣切り」や「期間工切り」を推し進めるのは、身勝手で、無責任のきわみです。これまで非正規労働を使って大もうけした上、今後は利益が減りそうだからと犠牲を労働者に押し付ける、こんなやり方を続けていては、売り上げも落ち込んで悪循環をひどくするだけです。大企業だけが大もうけする、政治と経済の仕組みを根本から転換すべきです。

総選挙での前進めざし

 新自由主義の政策をこのままつづけさせてはならないという声はいま世界中に広がっています。

 日本でも年末ぎりぎりまでのたたかいで、中途解雇の撤回や住まいの保障を認めさせてきました。日本共産党は志位和夫委員長自ら大企業と交渉したのをはじめ、全国の草の根からのたたかいに国民とともに力をつくしてきました。

 政治は激動しています。国民への責任を果たすためにも総選挙や都議選で前進をめざす決意です。


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