2008年12月31日(水)「しんぶん赤旗」

主張

不況越年

連帯と支援強めて新年を


 年の瀬とともに、日本列島をきびしい寒波が襲っています。

 かつてない不況の中での越年です。「派遣切り」や「期間工切り」など雇用の破壊で、仕事はもちろん住む場所さえ奪われた人たちの寒空のもとでの暮らしを思うと、胸が詰まります。

 解雇の撤回と生活の保障を求めるたたかいを強め連帯を広げるとともに、生活に困る人たちへの支援を、年末年始も途切れさせてはならないと痛感します。

仕事も住まいも奪われて

 年末のある日、住まいを失った人たちへの食事の支援がおこなわれている、東京・台東区の上野公園へ出かけました。都心でも氷が張った、冷え込んだ日です。驚いたのは長蛇の列です。五百人はゆうに超えます。

 路上生活が長いと思われる方もいます。が、つい最近、仕事と住まいを失った方も増えているといいます。女性や若い方の姿もあります。誰もが同じように身の回りの品を大きな袋に詰め込み、黙って食事の順番を待ち、手早くかきこむ…。自分の親たちや、子どもたちの世代がと思うと、やりきれないものがあります。

 東京では盛り場や駅でも、「ホームレス」の姿が増えました。一年に一回ぐらいは、家族そろって新年を祝いたい。それなのに帰る家もふるさともない―。こうした人たちから人間らしい生活を奪ったのはいったい誰なのか。

 厚生労働省は、派遣や期間工など、職を失う非正規労働者が、来年三月までで八万五千人に上るという調査結果をまとめました。氷山の一角です。九割が再就職できず、住まいを失った人もすでに二千人以上に上っています。

 金融機関などの予測では、今回の不況で失われる雇用は、非正規、正規を問わず百数十万人に上るといいます。問題は、どのようにして大企業の無法な解雇をやめさせ、仕事を失う人を減らすかです。そうした立場を欠く予測では、きびしいのだから、がまんしろといっているのと同じです。

 トヨタやキヤノン、ソニーなどの大企業が、これまでの黒字をため込んだうえ、高額の役員報酬や株主への配当を続けながら、先を争うように、派遣や期間工を切り捨てているのは、絶対に許すことはできません。これらの大企業の経営者や役員には、寒空のもと食事を求めて長時間行列する人々を思いやる、人間らしい心のひとかけらもないのでしょうか。

 その大企業に形ばかりの「お願い」をするだけで、無法な解雇をやめさせる強力な指導や監督の責任を果たさない、麻生太郎首相や舛添要一厚労相をはじめ、政府の責任は重大です。政治家にとってもっとも大切なのは国民の暮らしを守ることです。仕事も住まいも失う人をなくすために、知恵を出し合い、力を合わせることが、いま切実に求められます。

人間らしい暮らし求める

 人間らしい雇用と生活を手にしたい―。そんなぎりぎりの願いさえ踏みにじっている大企業の無法な雇用破壊と、それをやめさせることができない自公の政治に怒りを抑えることができません。

 今年は各地で新しく労働組合を組織し、たたかって成果を挙げる動きも始まりました。新年こそ、連帯と支援を広げ、大きな前進の年にしようではありませんか!



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