2008年12月27日(土)「しんぶん赤旗」

新銀行東京に改善命令

金融庁 赤字生んだ ずさん審査


 金融庁は二十六日、東京都が出資し経営難に陥っている新銀行東京(東京・新宿区)に対し、銀行法に基づく業務改善命令を出しました。


 過大な融資計画やずさんな審査体制が大幅な赤字を生んだと記述し、元行員が関与した不正融資事件以外のこげつき融資の調査が不十分であり、取締役会が十分な機能を果たしていないなどとして、来年一月二十六日までに改善計画を提出するよう求めています。

 金融庁は五月から七月にかけて同行を立ち入り調査し、十月二十一日に検査結果を通知しました。

 改善命令では検査結果と同行が検査通知後提出した報告を検証した結果、融資詐欺事件に関連し焦げ付いた他の融資の調査や再発防止策の策定、債務者の把握、審査体制や内部監査の体制整備が不十分であり、取締役会が機能を果たしていないと指摘。(1)経営、内部管理体制の確立(2)問題事案の再発防止策の策定(3)審査・管理体制―など四点の改善を求めています。

 新銀行東京は同日、「業務改善命令を真しに受け止め、深く反省するとともに、心よりおわびします」と謝罪文を発表しました。

 同行は、石原慎太郎知事のトップダウンで都が一千億円を出資し二〇〇五年に開業。都が押しつけた過大な融資目標とずさんな審査で今年三月に千十六億円の累積赤字をかかえ、九月に千十六億円を減資、都が出資した約八百五十五億円を棄損。同行は四月、都から四百億円の追加出資を受け、リストラを実施しています。都議会の自民、民主、公明の各党は新銀行設立に賛成、日本共産党は一貫して反対しています。


破たん処理 直ちに

党都議団 清水政策調査副委員長が談話

 日本共産党東京都議団の清水ひで子政策調査副委員長は二十六日、金融庁が新銀行東京に業務改善命令を出した問題について談話を発表しました。

 談話は、新銀行東京が今年三月期決算で千十六億円も累積損失をだすなど、経営破たんは開業当初から懸念されており、巨額損失を生じる前に対策を講じることは十分可能だったとし、金融庁の改善命令は「遅きに失した不十分なもの」としています。

 同庁が改善命令で過大な事業規模の追求、コンピューター頼みの融資審査が大幅赤字の原因だと指摘したことについて、「日本共産党が一貫して指摘、追及してきたもの。経営破たんの責任は、旧経営陣にあるとする石原知事と東京都の主張が根拠のない誤りであったことが裏付けられた」と強調しています。

 新銀行東京は、中小企業に役立つ銀行でないことは明らかだとし、「新銀行東京の破たん処理に直ちに踏みだすこと、議員などのかかわりも報道されている不正融資の全ぼうを明らかにすることを強く求める」としています。


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