2008年12月26日(金)「しんぶん赤旗」

主張

倒産急増

金融危機のツケ 業者に回すな


 金融危機と不況の深刻化のなかで年の暮れを迎え、失業の急増とともに、中小企業の倒産急増が懸念されています。

 今月八日に発表された倒産件数は、十一月までで、すでに昨年の年間件数を超えました。上場企業の倒産は三十一件と戦後最多を更新しました。信用収縮、売り上げ減、発注減が中小企業の経営を二重、三重に苦しめ、倒産を増大させています。

貸し渋りをやめさせる

 中小企業の倒産にストップをかけることは、非正規雇用の解雇など雇用破壊をやめさせることとともに、年末から来春にかけての政治の最重要課題の一つになっています。

 今年に入って中小企業の倒産が増大している原因の一つは、金融機関の「貸し渋り、貸しはがし」です。日本銀行が今月十五日に発表した「企業短期経済観測調査」(日銀短観)によると、中小企業の資金繰り判断指数は、マイナス十五と最悪の状態です。今月初めの日銀の調査では、九月末の国内銀行の中小企業向け貸出残高は、二年前と比べると七兆八千億円も減少しています。

 民間の信用調査機関、東京商工リサーチの調査によると、最近の倒産件数のうち「不況型倒産」が79%を占め、とりわけ「資金調達環境の悪化」が目立っています。帳簿では黒字でも手元資金がない、黒字倒産も増えています。

 見逃せないのは、自公政府が昨年十月から、中小企業が民間金融機関から融資をうけるさいに利用できる信用保証協会の信用保証を、「全額保証」から「部分保証」に改悪したことが金融機関の貸し渋り、貸しはがしを助長したことです。

 政府も遅ればせながら、今年の十月末から、全額保証の「緊急保証制度」を発足させ、資金枠も、六兆円から二十兆円に拡大しました。しかし、銀行などが業者の赤字や貸し付け条件の変更、税の滞納を理由に融資を拒否しているため、肝心の年末には利用できないことになっています。

 政府はただちに銀行にたいして、中小企業への貸し出し目標と計画を明確にさせて、監視・監督を強化するなど、実効ある対策をおこなうべきです。

 中小企業家同友会の『中小企業憲章ヨーロッパ視察報告』によると、EU(欧州連合)では、二十一世紀の中小企業政策の精神としてシンク・スモール・ファースト(Think Small First=小さい企業を第一に考える)をかかげ、「ヨーロッパ経済の背骨」、「雇用の主要な源泉」と位置づけています。

 日本でも、中小企業は全国の従業者総数の77・8%、製造業出荷額の47・8%を占めています。

 ところが、麻生内閣が二十四日に決定した来年度予算案では、中小企業予算は一般歳出の0・37%、千八百九十億円にすぎません。

予算を一兆円程度に

 日本共産党は、「中小企業こそ主人公」の立場から、大企業優先の経済政策を転換して、「中小企業憲章」を制定し、中小企業予算を当面2%、一兆円程度にふやすことを主張しています。

 金融危機と不況の悪循環で激増する企業倒産をなんとしても食い止めるため、金融危機のツケを中小企業に回すことをやめ、中小企業予算を大幅に増やすべきです。



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