2008年12月25日(木)「しんぶん赤旗」
ハウジングプアの広がり 対策案は?
〈問い〉 「ハウジングプア(住まいの貧困)」の広がりが問題になっています。日本共産党はどういう対策をとるべきだと考えていますか?(大阪・一読者)
〈答え〉 契約解除で失業した非正規雇用労働者が社員寮や派遣会社の借り上げ住宅から退去を余儀なくされています。厚生労働省は、雇用促進住宅の空き家1万3千戸を年内に開放し、入居できるようにする、非正規労働者を退去させずに無償で住宅を貸与した事業主に対し助成金を出す、と決めました。金額は一人あたり月6万円程度を想定し、第2次補正予算に盛り込み、年内にさかのぼって適用するとしています。国土交通省も「離職者の居住安定確保に向けた公営住宅の活用について」という通達を出しました。
住居を奪われることは生存権が脅かされることです。日本政府も賛成したILO(国際労働機関)第45回総会(1961年6月)は、「使用者による住宅供給」を勧告し、「雇用契約終了による、それらの住宅(注・使用者が所有する住宅)の賃貸もしくは占有契約の終了については、国内法と慣行が十分に尊重されなければならない」と明記しました。
日本でも憲法やその他の法律で居住権を保障しており、労働契約切れによる住宅退去は法規に照らしても企業の社会的責任からみても許されません。公営住宅法第1条は「住宅困窮する定額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」するとしています。この精神に立って、政府は、公営住宅の空き家の活用、空き家が少ない大都市では公団(UR)住宅や民間賃貸住宅の借り上げなどをおこなうべきです。すでに地方自治体が低家賃で提供する動きがでていますが、政府は入居基準の緩和や財政的支援をし、自治体が提供しやすいようにすべきです。
一方、公営住宅では来年4月から家賃改定が行われ、3割近い世帯で値上げされる予定です。URでは当面値上げが延期されたものの、高すぎる現家賃の値下げをとの声が渦巻いています。家賃が払えず住居を失う事態を避けるためにも、公営、UR住宅とも値上げを凍結すべきです。
ハウジングプアの現実は非正規労働者にとどまるものではありません。URでは、政府の方針で団地削減・再編方針がとられ、東京・高幡台団地など全国17団地の24棟を取り壊す計画です。これらの団地には高齢者が多く、「いまさら引っ越しなど考えられない」と訴えています。
ハウジングプアの広がりには、小泉「改革」以来の公営住宅法の改悪、公的住宅供給の縮小・削減、借地借家法を改悪など、住宅政策の市場化があります。緊急策を講じながら、住居の権利を人権としてみる政策こそがいま求められます。(高)
〔2008・12・25(木)〕