2008年12月24日(水)「しんぶん赤旗」

英軍 来年7月 イラク撤退

開戦経緯や占領政策…

高まる責任追及の声


 【ロンドン=岡崎衆史】米国の最大の同盟国としてイラク戦争に参戦し、派兵国中第二の規模の兵力を同国に駐留させてきた英国が来年七月末で軍を撤退させます。英国内では改めてイラク派兵の責任を追及する声とともに、開戦への経緯や占領政策についての包括的な独立調査を求める声が高まっています。

 ブラウン首相は十八日の下院で、現在イラク南部のバスラ郊外に駐留する約四千百人の英軍の撤退を来年五月中に開始し、七月末に約四百人の訓練要員を残してすべて引き揚げることを明らかにしました。

開戦以来英兵死者178人に

 英国のブレア前政権は二〇〇三年のイラク開戦時、約四万五千人を派兵し、その後バスラを拠点に南部の治安を管轄。ブラウン政権下で昨年末、治安権限をすべてイラク側に移譲し、バスラ市内から郊外に軍を撤収させていました。開戦以来の英兵死者は百七十八人に達しています(二十一日現在)。

 事実上の撤退宣言を受け、政府のイラク政策への徹底的な調査を求める声が、野党を中心に再び強まりをみせています。

 野党第一党・保守党のキャメロン党首は「徹底した独立調査が絶対に必要」と主張。野党第二党・自由民主党のクレッグ党首も、イラク開戦を「過去五十年間で最悪の政策決定」と振り返り、同様の調査を求めました。

 一方、圧倒的な反戦世論に逆らって開始したイラク戦争に対して、主要メディアも厳しい視線を向けています。

 ガーディアン紙で安保問題を担当するノートンテイラー記者は、「ますます多くの人々が(派兵を)違法とみなし、英軍幹部を悩まし、兵員確保に危機的状況をもたらした」と解説しました。

 タイムズ紙は「英国の中東での地位、英米関係、英軍の名声に深刻な打撃を与えた」と総括しました。インディペンデント紙は、イラク戦争開始以来の戦費が七十八億三千六百万ポンド(約一兆四百億円)に上ると指摘。これは百七の病院を建設し、二万五千二百人の教師の給与を十年間支払うのに十分な額と述べ、無駄遣いぶりを批判しました。

戦争の支持者すべてが責任を

 同紙十八日付論評はまた、「この新帝国主義的な冒険を支持した者は誰でも、犯罪自体(イラク戦争のこと)とそれがもたらした恐怖への責任を取ることが求められる」と主張。ブレア政権の財務相として戦費を承認したブラウン首相を含む戦争の支持者すべてが責任を問われるべきだと主張しました。



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