2008年12月24日(水)「しんぶん赤旗」
高い学費 貧困拡大…
国立大授業料 免除申請増える
本紙が全国調査
本紙が全国八十二の国立大学を対象に実施した「授業料免除実態調査」には、二十日締め切りで六十六大学から回答がありました。
二〇〇四―〇八年度の前後期の学費免除者数や独自の奨学金制度などを回答用紙に記入してもらう方式。授業料免除を申請する学生の増加や、全額免除の激減などが明らかになりました。中間集約(十一月十八日付)につづき、まとめを報告します。(伊藤悠希)
本紙調査によると、〇八年度前期の免除申請者は学生全体の9・2%。〇四年度前期の8・3%と比べ増加しています。
国立大学の授業料免除の国の予算枠は全学生の授業料の5・8%。ほとんどの大学でその率を上回っていました。地域的には北海道、沖縄では14%を超える大学もあり、10%を超えている大学は二十四でした。
国立大学の授業料は年間五十三万五千八百円(前期分は二十六万七千九百円)。一方、年収が二百万円以下の勤労者が、〇六年、〇七年と連続して一千万人を超えるなど、働いても低い収入しか得られない国民が増えています。貧困の広がりのもと、高すぎる授業料が家計を圧迫しており、免除申請者の増加につながっています。
全額免除激減
全額免除を受けたのは申請者数の25・8%で、〇四年度前期の35・0%と比べ、10ポイントも減っていることがわかりました。
一方、半額免除を受けたのは、申請者のうち、〇八年度前期で52・2%、〇四年度前期の36・5%と比べ大幅に増加しています。
また、全額、半額の免除を受けられない学生は、回答した大学の集約でも約七千二百人にのぼっています。
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予算枠拡大を
授業料免除を申請する学生が増えると、大学側は半額免除を増やして対応することになります。〇四年度には全額、半額の免除は約半々でしたが、〇八年度では全額免除は半額免除の半分しかいません。すでに、全額免除をやめて、すべて半額免除にしている大学も出ています。
本紙調査からも、国の予算枠拡大の必要性が明らかです。
経済理由優先
授業料免除の基準は各大学とも学生の成績と家庭の収入をもとにしています。
東京大学は今年度から世帯年収四百万円以下の学生の授業料を全額免除する制度を開始しました。新入生の場合は、成績基準はありません。
京都大学では、〇五年度から成績にかかわりなく経済的に困っている学生が後期授業料の全額免除を受けられる制度を始めています。〇九年度からは新入生の場合、成績基準をなくしました。これにより、前期についても経済的理由のみで免除が受けられるように改善されます。
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