2008年12月23日(火)「しんぶん赤旗」

イラン核問題

外交政策「努力を」

米次期政権に相次ぎ意見


 【ワシントン=小林俊哉】イランの核開発問題の解決に向け、オバマ次期米政権は外交努力を強め国際的リーダーシップを発揮すべきだ、と求める意見が外交専門家から相次いでいます。

 米国の外交政策に影響力を持つ米シンクタンク、外交評議会のレイ・タキー氏は米紙ボストン・グローブ(十七日付電子版)に寄稿し、「国際社会は、イランの指導者からみて、国際規範に従うことこそ自らの戦略的利益となるような状況をつくりだす必要がある」と訴えました。

 イランが中東地域に影響力を持つ地域的大国となることを認めた上で、「イランが同地域に大きな影響力を持つ国になりたいという大志を実現するためには、(国際社会との)対立ではなく協力こそ最良の道だというシグナルを、世界の大国がイラン政府に対して送るべきだ」と指摘。「このことでは、米政府の大胆なイニシアチブが求められる」と述べています。

 外交評議会のリチャード・ハース会長も、米ブルッキングス研究所の中東専門家マーチン・インディク氏と連名で、英紙フィナンシャル・タイムズ(十六日電子版)に寄稿。「オバマ政権の(対イラン政策の)主要目的は、核開発計画の制限であるべきで、イランの体制を孤立させることではない」と指摘しています。

 外交努力を強めるにあたって他の大国との協力が重要であり、とりわけ中東政策の実行にあたってロシアの協力を得る努力が不可欠だと強調。「(このためには)米政府は、どこでもロシアの利害を念頭に置くことが必要だ」と指摘。「もしロシアがイランの核開発問題の解決に向けて真剣さを示すならば、米国は欧州へのミサイル防衛システムの配備計画の先送りに同意すべきだ」「グルジアやウクライナを含めた北大西洋条約機構(NATO)の拡大も遅らせる必要があるかもしれない」と述べています。

 ハース氏は、外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』(〇九年一―二月号)にも同趣旨の論文を発表しています。

 現在、イランには国連決議による経済制裁が実施され、米国は独自にペルシャ湾に海軍を展開しています。オバマ氏は、軍事力行使の選択肢を否定しないものの、イラン指導者との直接対話を含む外交的解決を主張しています。



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