2008年12月23日(火)「しんぶん赤旗」
“愛国心”教育 高校でも
学習指導要領改定案 計画作成を義務化
文部科学省は二十二日、高校と特別支援学校(旧盲・ろう・養護学校)の学習指導要領改定案を発表しました。三月に改定された小・中学校の指導要領と同様、改悪された教育基本法に示された「目標」を達成するために教育を行うことを明記。高校では「わが国と郷土を愛する日本人の育成」などを目指す「道徳教育」の「全体計画」を各学校でつくるよう義務付けました。
高校と特別支援学校の指導要領改定は一九九九年三月以来、ほぼ十年ぶりです。
改定案は冒頭に改悪教育基本法を掲載し、「総則」で同法が示す目標の達成を位置づけました。
全日制高校の授業時数はこれまでの週三十時間を標準としつつ、「必要がある場合は増加」と明記しました。
生徒に義務教育段階での学習内容が十分身についていない場合には、学校独自の科目を設定するなどして「確実な定着を図る」としています。
現行の高校指導要領にはない共通必修科目を国語・数学・英語で設定。数学・理科ではかつてあった内容や新規項目が加わりました。英語の単語数を現在より約五百語増やし、授業は英語で行うことを基本にしました。
高校の新指導要領は総則部分を二〇一〇年度から実施。各教科は一三年度の一年生から順次実施しますが、数学と理科は前倒しして一二年度から実施するとしています。
特別支援学校の指導要領改定案では、すべての子どもを対象に個別指導計画をつくることを義務付けました。
文科省は改定案への意見を来年一月二十一日まで公募し、二―三月に改定指導要領を官報告示する予定です。
改定案ポイント
◆高校
・「道徳教育」推進の「全体計画」作成を各学校に義務付け
・週30時間を超えて授業ができることを明確化
・中学校までの学習内容の確実な定着を図る学習機会を設ける
・数学・理科は一年先行して実施
・英語の授業は基本的に英語で指導
◆特別支援学校
・個々の子どもに応じた「個別指導計画」「個別教育支援計画」の策定を義務付け
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