2008年12月22日(月)「しんぶん赤旗」

ホームレス 炊き出し待つ列500人

師走 派遣切りの“嵐”

東京・上野公園


 トヨタや日産など大企業の大量派遣切りの嵐が師走の街に吹き荒れています。いま街に何が起きているのか…。(菅野尚夫)


 ジングルベルの音が響く街。その一方で、東京都内の上野公園ではホームレス支援の炊き出し。例年は三百人程度ですが、ざっと七割増の五百人を超える人たちが食を求めて並びました。

 二十日午後二時すぎからはじまる外国人が運営する「フードバンク」の炊き出しには開始三時間前の午前十一時ごろからホームレスや生活困窮者が集まってきました。

 日産自動車の元派遣男性労働者(45)は、ホームレスになった経緯を語りました。「最初は並ぶのが恥ずかしかった。派遣切りにあって、日雇い派遣の仕事などに就いたが、めっきり仕事がなくなった。飢え死にするわけにもいかず炊き出しに並んだ」

 マグロ船、イカ漁などで働いてきた北海道出身の漁師でした。仕事がなく、「東京にでれば仕事があるだろう」と上京したのが十五年前。トヨタ自動車、ソニーなど大手企業の製造工場で働きました。愛知県の自動車部品メーカーにも行き「期間工」で働きました。「寮から寮を渡り歩く旅ガラス。どん詰まりまできてしまった」と、思いつめた様子で話します。

 大きなリュックサックを背負った若い男性二人組。食事、パン類、果物の各列と並んでリュックに詰め込みます。

 「派遣会社の寮を追い出されました。これから先、不安で不安で…」と語ると押し黙ってしまいました。

本紙報道 支援の輪広がる

「米・現金送りたい」

 本紙十日付に「派遣切りでホームレス急増」「炊き出し用の米が足りない」という記事を載せました。「米を送りたい。送り先を教えて」と、問い合わせが相次ぎました。

 「ひと」欄(二十日付)でホームレス支援活動に取り組む「山谷(やま)農場」を主宰する藤田寛さん(38)を紹介しました。藤田さんは長野県から米やみそ、野菜などをボランティア団体に供給しています。

 その藤田さんからメールが届きました。「札幌市の男性や、岡山県の女性から『現金を送りたい』と、電話がありました。先日、津軽農民組合経由で白米六十キロを送ってくれた和歌山県の女性からは『自家製の梅干しと現金を送りたい、近隣にも手伝ってもらえないか声をかけます』と、電話が来ました。…リンゴ二百キロと白米百二十キロを届けに出かけます。雇用の調整弁にされている日系ブラジル人に食べてもらいます」

 社会的連帯による派遣切りの嵐に立ち向かう支えあいも始まっています。

 藤田寛さんの連絡先 〒384―1302 長野県南佐久郡南牧村海ノ口九六六の一五 南牧村社会福祉協議会気付 山谷農場。



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