2008年12月19日(金)「しんぶん赤旗」
大量解雇を中止・撤回し
大企業は社会的責任を果たせ
経団連に志位委員長が要求
派遣・期間労働者の大量解雇がきわめて深刻な社会問題となるなか、日本共産党と日本経団連の初めての会談が十八日、都内で行われました。会談で志位和夫委員長は「大量解雇を主導しているのは、日本経団連の中核を担う世界的大企業であり、その社会的責任はきわめて重大だ」と指摘。非正規労働者の大量解雇の中止・撤回を求める御手洗冨士夫会長あての要求書(全文)を手渡すとともに、先方の認識をただしました。日本経団連は、田中清専務理事、川本裕康常務理事が出席。日本共産党からは、こくた恵二国対委員長、吉井英勝衆院議員が同席しました。
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志位氏は、いま行われている非正規労働者の大量解雇には「四つの点で道理がない」と指摘。(1)非正規労働者を突然寒空のもとに放り出すことは人道にてらして許されないこと(2)契約の中途解除、「雇い止め」の濫用、一方的な内定取り消しは法令違反であること(3)大企業は「減益」といってもなお巨額の利益を上げ、配当を減らさず、巨額の内部留保ももっており、大量解雇を避けられないとする合理的理由はないこと(4)大企業が競い合って大量解雇をすすめたら、日本経済を雇用破壊と景気悪化の悪循環に突き落とすことになり、企業の存立・発展を展望しても自殺行為となること――を示し、日本経団連側の認識をただすとともに「会員企業などにたいし、大量解雇計画の中止・撤回を働きかけられたい」など四項目の要求(別項)を行いました。
田中専務理事は、日本経団連として会員企業の人員削減計画について把握していないとのべるとともに「雇用の安定のためには、一刻も早い景気回復が求められる」と繰り返しました。
志位氏が、日本経団連の「企業行動憲章」で「人権の尊重」「社会的良識」「従業員の人格と個性の尊重」を掲げていることにてらしても、「非正規切り」は許されるのかとただしたのにたいし、田中氏は「『憲章』はおっしゃるとおりだが、苦渋の選択をせざるをえない」などと弁明しました。
法令順守については、志位氏が、厚生労働省が出した“派遣切り”防止の「12・9通達」も含めて対応をただしたのに対し、田中氏は「通達も含め法令の順守は呼びかけている」とのべるにとどまりました。
志位氏は「『雇用の安定のためには景気回復が必要』というが、大企業が大量解雇を競い合ったら景気悪化の負のスパイラルに陥るという認識はないのか」とただしましたが、田中氏は「企業の存続が図れなくなったら景気回復もなにもない」と発言。志位氏は「内部留保の一部を取り崩すだけで雇用は維持できる」と指摘しましたが、田中氏は「ご意見は承る」とのべるにとどまりました。志位氏は「大企業が、世界経済危機にさいして、周章狼狽(しゅうしょうろうばい)し、競い合って労働者の首を切ったら、日本経済の底が抜けてしまう」ときびしく批判しました。
日本共産党の四項目の要求について、田中氏は「今日は、要請を承って持ち帰りたい」と表明。川本常務理事は「内部の会合もあるので、ご意見をお伝えしたい」とこたえました。
志位氏は、会談を受けての記者会見で、日本経団連の対応について「自らがすすめている大量解雇の非人間性にたいするまともな自覚がなく、日本経済をどう回復させていくかについての展望も示されなかった。国会内外でのたたかいによって、大量解雇の動きをくいとめるために、ひきつづき奮闘したい」と決意をのべました。
4項目の要求
1、会員企業等にたいし、大量解雇計画の中止・撤回を働きかけられたい。
2、違法な解雇、解雇権の濫用をおこなわないよう労働法制の順守を求められたい。
3、不当な内定取り消しなど、社会的責任を放棄した行動をやめるよう働きかけられたい。
4、労働者が解雇によって住まいまで奪われ、路頭に迷うような事態を引き起こさせないために万全の対策を講じるよう働きかけられたい。
「12・9通達」 9日に厚労省が出した「非正規切り」防止の通達。職業安定局長名と労働基準局長名の2種類があります。通達では、派遣労働者などの有期労働契約について「やむを得ない事由」がある場合を除いて契約途中での解除は違法(労働契約法違反)になることを明記。契約満了での「雇い止め」でも、乱用すれば違法になる場合があるということも示されています。
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