2008年12月17日(水)「しんぶん赤旗」
“「君が代」強制怖かった”
東京高裁 卒業生らが証言
卒業式での「君が代」斉唱時の起立命令に従わなかったことを理由に定年後の再雇用を取り消され、事実上の解雇となった元都立高校教員十人が、その撤回を求めて東京都を訴えている裁判の控訴審口頭弁論が十六日、東京高裁(宗宮英俊裁判長)でありました。原告の教え子の都立高校卒業生らが証言に立ち、「日の丸・君が代」強制の実態や解雇された教師への思いなどを語りました。
原告の男性が三年間担任し、都教委が「日の丸・君が代」強制の通達を出す直前の二〇〇三年三月に卒業した女性(24)は、「当時の学校は自由で生徒同士がお互いの考えや行動を尊重しあうことの大切さが学べた」と証言しました。子どものころから祖父母の戦争体験や「日の丸・君が代」が果たした役割について学び、起立できないと思っていたが、式では「内心の自由があるので賛同のかただけ起立ください」との説明があり、当然だと思ったとのべました。
原告について「正面からぶつかりあえる先生だった」とのべ、事実上解雇されたと知ったときは「ありえないことだ、そんなことが許されるはずがないと思った」と語りました。
一方、〇四年に卒業した女性(23)は、式の前に担任教師から「お願いだから立って歌ってください」といわれたこと、それがとても言いにくそうで、上から言わされていることがわかり、怖いと感じたことを証言。それ以前は「君が代」を起立して歌っていたが、「私たちの式なのに、なぜ歌っているかどうかを監視されなければならないのか」と感じ、起立しなかったと語りました。
解雇された原告について「自分で考える力、相手を思いやることを学んだすばらしい先生。後輩にも先生の授業を受けてほしかった」と語りました。
東京都高等学校教職員組合の元役員は、〇三年に都教委の方針が急に変わり、強制が強まり、内心の自由の説明も禁じられた経過を証言。「背景には一部の都議の政治的圧力と一部教育委員の強硬姿勢があったと思われる」と述べました。
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