2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」
衆院本会議
新金融機能強化法案の再議決
佐々木議員の反対討論
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日本共産党の佐々木憲昭議員が十二日の衆院本会議で行った新金融機能強化法案再議決への反対討論は次の通りです。
臨時国会は、もともと会期が十一月三十日までだったのです。会期内に可決・成立しなかった法案は、廃案にするというのが常道であり、この新金融機能強化法案もそうすべきだったのです。
ところが麻生総理と政府・与党は、十一月の会期末直前になって新テロ特措法改定案と新金融機能強化法案の二つの法案をごり押しするため、会期延長を強行しました。それは、衆議院の三分の二の多数で再議決を行い、むりやり成立させようとしたからです。そのようなやり方には、まったく道理がありません。
新金融機能強化法案についていえば、世界的な金融危機のもとで投機的な資金運用で自己資本を棄損した金融機関に、なぜ、公的資金を使って応援しなければならないのでしょうか。
メガバンクはもちろん、農林中金・信金中金までもサブプライムや不動産関連など投機的な資金運用に比重を移し、多額の損失を出しています。このようなときに、公的資金による資本注入が行われれば、損失の穴埋めに使われるだけです。
それなのに法案では、資本注入の資金を預金保険機構が「政府保証」によって調達し、最終的に損失が出たとき、国民が税金で負担するしくみになっています。なぜ、国民にツケを回さなければならないのでしょうか。
どうしても金融機関の経営安定のために資金が必要というのなら、預金保険機構が、必要な資金を日銀や民間銀行から借り入れ、銀行業界の共同の責任で計画的に返済すればよいのです。
政府は、今回の資本注入が貸し渋り対策だと言っていますが、その保証はありません。
従来の法律には、資本注入を申請するさいに提出する「経営強化計画」のなかに「中小企業への貸し出し目標」を盛り込むことや、「未達成」の場合、経営責任・株主責任を明確にすることが一応、盛り込まれていました。
ところが今回の法改正では、これらの要件すら外してしまったのです。目標も掲げさせず、責任も問わないで、どうして中小企業への貸し渋り対策になるというのでしょうか。まったく理解できません。
この十二年間、公的資金による銀行への資本注入は、十二兆四千億円も行われてきたにもかかわらず、中小企業への貸し出しは、一九九六年三月から今年八月までの間に、実に八十四兆円以上も減らされてきたのです。
いま、緊急に求められているのは、銀行への資本注入ではなく、自己の利益のみを最優先する銀行の不当な貸し出し姿勢をただすことです。
金融危機と景気悪化から国民生活を守るため、いま、政府が緊急にやるべきことは何か。次々と強行されている大企業の「派遣切り」など不当な解雇にストップをかけ、雇用を守ることです。首切りを競いあい、退職を強要するなどという事態に歯止めをかけなければなりません。下請け中小企業にたいする親企業の一方的な単価切り下げや仕事減らしを規制すべきです。
重大なのは、麻生内閣が、かつてない世界金融危機のもとで「生活対策を優先」といいながら、国民が安心できる具体策を何もとっていないことです。
麻生総理がいまやるべきことは、衆議院を解散し、主権者国民の審判をあおぐことです。このことを強調し、反対討論を終わります。