2008年12月12日(金)「しんぶん赤旗」

主張

給油延長法案

この再議決は無法がすぎる


 自民、公明の与党は、アフガニスタンでのアメリカの戦争を支援するため、海上自衛隊のインド洋での給油活動を延長する法案を、参院が否決したあと、十二日の衆院本会議で再議決しようとしています。十一日の参院外交防衛委員会で採決する日程は、民主党も賛成して決めました。

 給油活動を延長する法案を、参院が否決したあと衆院で再議決、三分の二以上の賛成で成立させるやり方は、ことし一月にもやられたものです。国民の反対と議会制民主主義を重ね重ね踏みにじる、無法きわまるやり方です。

無法な戦争を支援する

 インド洋での海上自衛隊の給油活動が、無法なアメリカの戦争を後押しするだけで、アフガニスタンでの平和の回復にも、国民の民生向上や国土の復興にも役立っていないことは明白です。

 二〇〇一年のアメリカ同時テロの直後、アメリカのブッシュ政権がテロへの「報復」として始めたアフガニスタンへの攻撃は、当時のタリバン政権を崩壊させたものの、開戦から七年以上たっても悪化の一途をたどり、文字通り泥沼の状態です。アメリカやNATO(北大西洋条約機構)が派遣した軍隊は圧倒的な軍事力でも抑えきれず、撤退どころか増派を検討しなければ身の安全も守れない状態に追い込まれています。

 とりわけ事態を深刻にしたのは、アメリカの無差別な空爆が罪のない国民を惨殺し、怒りを招いていることです。アフガニスタンのカルザイ政権も繰り返し空爆の中止を求めていますが、アメリカはそれさえ聞き入れていません。

 空爆をおこなっているのはインド洋に配備された空母などから飛び立った米軍機です。政府が国会に提出した資料などから、日本の給油が空母を護衛している艦船にもおこなわれていることが明らかになっています。日本の給油が無法な虐殺に手を貸すものとなっているのは重大です。

 いまや戦争では国民の憎悪と暴力の応酬を激しくするだけで、テロはなくせないことは明白です。給油延長法案を審議した参院外防委に参考人として出席したアフガニスタン現地で活動する民間団体「ペシャワール会」の中村哲現地代表も、テロは「軍事力では絶対になくならない。ますます拡大する」「外国軍の空爆が治安悪化に拍車をかけている」と強調しました。

 八月には現地で活動中の「ペシャワール会」のボランティア伊藤和也さんが武装勢力によって命を落としました。それだけに発言は重く、法案をごり押しする与党は、参考人として出席を求めた中村氏の発言さえ踏みにじる責任を、きびしく問われることになります。

無法が無法を加速する

 アフガニスタンでの無法な戦争の支援を、無法なやり方で継続しようとする政府は、米軍などの増派に呼応して、アフガン本土への陸自ヘリ部隊の派遣まで言い出しています。これこそ無法に無法を加速させるものです。

 アメリカやその同盟国も戦争では解決できないと言い出し、カルザイ政権も繰り返し現地の武装勢力との話し合いを呼びかけるなど、平和的解決の機運は高まっています。戦争支援をやめ、平和的解決を後押しすることこそ、いま日本がやるべきことです。



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