2008年12月11日(木)「しんぶん赤旗」
ガザ地区封鎖
イスラエル指導者裁け
国連報告官“国際法廷で”
「深刻な人権侵害」
【カイロ=松本眞志】国連人権理事会のリチャード・フォーク・パレスチナ人権問題特別報告官は九日、イスラエルのガザ地区封鎖が深刻な人権侵害を引き起こしているとして、同国指導者を国際刑事裁判所(ICC)に訴えるよう求めました。
フォーク氏は報告の中で、イスラエルがごく限られた量の食料や燃料の移送のみしか認めないで、飢餓と伝染病が拡大する状況が作り出されたと指摘。「ガザ地区住民は、人類に対する犯罪に匹敵する政策のもとで集団懲罰を受けている」と非難しました。同氏は、「ICCは、ガザ地区封鎖に責任を負うイスラエルの政府指導者と軍指導部が国際刑事法違反で告発、あるいは訴追されるかどうか判断するべきだ」と述べ、イスラエルを政治的・経済的に支援している米国などの対応についても批判しました。
ICCは、大量虐殺や人道に対する罪を犯した個人を裁くための独立した常設裁判所。法廷はオランダのハーグにあります。二〇〇二年七月に設立条約が発効しましたが、米国やイスラエルは締約国には入っていません。
フォーク氏は米プリンストン大学名誉教授で、今年三月に国連人権理事会の特別報告官に任命されました。ユダヤ系米国人ですが、イスラエルのパレスチナ人に対する人権侵害行為を第二次大戦中のドイツのナチスになぞらえて抗議したことでも知られています。